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舌出して嘲笑え
▼女なんざ人妻に限る
沖田と山野が隣に座り朝食を取っていた…が、その席の周りには隊士が近寄らずポツンとした空間が出来ていた。
というのも

「え、なんで沖田隊長と山野あんなに不機嫌なの」

お盆をもった山崎がその様子を見て呟いたように、二人の纏う空気感が最悪だった
流石山崎とでも言うべきか、呟いた言葉は運悪く二人の耳まで届いてしまう
「ざきさんおはよう、こっち来なよん」
「え…」
「さっさとしなせェ」
「いや…」
「「は?」」
「はいぃぃぃぃ!!」
妙に威圧的な二人に圧されて機嫌の悪そうな二人の元へと近寄っていく山崎に、遠巻きに様子を見ていた一部の隊士が憐れんだ目を向ける
山崎がそちらにジェスチャーで助けを求めてもヒラヒラと手を振り逃げられた

「はぁ…ついてない」
悲しみが籠った声が溢れた山崎の後ろから声がかかる


「残念、ざきさん逆だよ、ぎゃーく」
「これからついて貰うんでさァ」

「は?」

正直、山崎からするとこの二人の組み合わせは苦手だった。何故なら話が通じない…というよりは勝手に完結しながら話を始めるから理解しがたい
にやりと笑った二人の目線は、ちょうど食堂に入ってきた土方を見つめていた
「…もう!土方さんったら」
「んなに言わなくたっていいだろ」
「クスクス…」

土方と麻里の周りに僅かに見えるピンクオーラに吐くポーズをしながら山崎を引きずる二人の表情は引き摺られていた山崎には見えなかった。
場所を移し、食堂から出て適当な部屋へと入った二人は黙ったまま。ようやく開放された山崎は身を整えながらも先を促した。

「えーっとつまり…?」
「女調べろって言ってんでェ」
「女って…麻里って子?」
「そーそー、最近入った女中さん」

二人に連行された山崎に話を切り出した山野からの言葉に続けられる沖田からの土方への悪態

「何てゆーのかなぁ…ウザい?キモい?」
「土方コノヤローが気持ち悪いんでさァ」
「あ、うん、二人が酷いことは分かったけども…つまりどういうこと!?」
あまりの言われように土方が何をしたのか思いを馳せたが二人…特に沖田の土方への扱いが酷いことは今更であり、沖田と山野の話を聞かないことには何も分からない

「近藤さんが変な情にほだされるのはいつものことだから構わないし他の隊士が若い女に気を向けるのはまだ分かるよん」
「土方コノヤローまでそこにいるのが気持ち悪いっつってんでィ」

他に聞こえないように山崎を連行した部屋の閉めきった室内で、口を開こうとした山崎に被せて音が紡がれる

「副長があの調子でざきさんが暇なのは分かってるんだよん」
「文句言わねェで動きやがれ」

自分よりも年若い二人の強引なその命令に思わず首を縦に振ってしまったが運の尽き。
さっさと居なくなった二人の後ろ姿を見ながら暫しぼんやりとしていた山崎の口から溢れた愚痴は誰にも届かない

「あ…朝飯食べれてない…」