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濡れた片翼のキスマーク

土方さんは跡を残さない

勿論、体もそうだけどそれだけじゃなくて

例え一時でも体が繋がって悲しい幸せを感じたと思っても次の朝、疲れて気を失うように眠ってしまう私が日の光に目を覚ます頃には夜にはあった温もりは冷えきっている

シーツには温度もなく、残されるのは机に置かれたホテル代だけ

いつもならそれを見ても何も思わないのに…今日だけは何故だか瞳の奥が熱くなった

「っ…」

シーツに落ちる温い水滴、拭ってくれる人を望んでいるわけではない。知っているそんなこと、何よりも私が望んでいたのに

都合のいい女で十分

なのに何でこんなに涙が溢れてくるの?

「ふっ……っう……」



その日、シャワーを浴びた私の視界に映った自分のお腹の下辺りには、珍しく赤い華が咲いていた

なんで今更こんなものを付けたのか、なんで突然こんなものを残したのか、
それに答えてくれる人はもういない

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