フォアリュック島─偉大なる航路にある島々のなかの１つである。色々な国々との交流が盛んであり、珍しい品々が並ぶ街並みを持つ賑やかな島であった。

─表の街に限れば、の話であるが。
フォアリュック島には二つの大きな街がある。賑やかな街は表の街。一歩裏に踏み込めば、そこに待っているのは欲にまみれた裏の街。

裏の街で一番大きな力を持っていた家があった。その家に逆らえばこの島では生きていけない、そう言われるほどに大きな力を握った家。
ザイテ家と言うその家には多くの大人が出入りする。どれもこれも良い噂など耳にしない恐れられる存在の大人達。


ザイテ家には二人の息子が居た。出来のいい長男と出来の悪い次男。誉められるでもなく義務として毎日繰り返される裏社会での力を持つための教育。それを上手くこなせる長男の評価は高くついたがそれに反して、感情豊かに素直に自分を貫く次男は落ちこぼれと言われていった。


今やもうザイテの中から外されつつある次男の名前はクラートという。


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