コーヒー (6/18)
「ッゲホゲッホ、…まっず!!!!!」
自分で淹れたコーヒーに口をつけた途端に噎せた榊。それを見ていたコナンは白けた目をする。
「…榊なにしてんだよ」
「おし、コナン、これ飲んでみろ」
「え?お前今不味いって言ってたよな?言ってたよな??」
「ほら飲め飲め」
ぐいぐいとコナンの口にマグカップを押し付けてくる。このままだと服に溢されると思ったコナンは渋々マグカップの中身を口にした。
「…まっず!!!!!」
「だろ?」
「だろ?じゃねーよ!!榊なにしてんだよ!!!」
「砂糖と塩間違えちった☆」
「ねーよ。普通ねーよ」
コナンに無理矢理飲ませたことで気がすんだのか、おもむろに立ち上がり、キッチンに向かう榊
「普通間違えねーだろ。どこの漫画だよ、おい。榊バカだろ」
「うっせーよ。…おし、できた」
戻って来た榊の手には先ほどと同じマグカップ
「え、なに」
「いや、ちょっとはマシになるかと思って砂糖いっぱーい入れてきた」
「…普通に悪化するだろ」
「そーか?いけんじゃね?」
そう言いながらもマグカップを傾け、口に含んだと思ったら無言でコナンに差し出す榊。
飲めという無言の圧力を感じたコナンはため息を吐きながらも覚悟を決め、飲んだ。
「…うわー」
「不味いだろ?」
「なにドヤ顔してんのお前。元々榊がやったんだろ、なにこれ。ほんとに不味い。おとなしく淹れ直して来いよ」
「だよなー」
流石にこれは酷いと思ったのか榊も大人しくキッチンに戻って行った。
数分後、
「あ」
バシャリ、となにかを溢す音と、榊の気の抜けた声。思わず思いっきりため息を吐いたコナンは、立ち上がり音のした方へ向かった。
「………なにしてんの榊」
「牛乳溢しちゃった☆」
「なんなのお前。ほんとにアホなの」
「テヘペロ☆」
無言で拳を握りしめ、榊の頭にふりおろす。
「いってぇ」
「さっさと片付けて来いよ」
大人しく溢した所を拭き始めた榊を確認し、座っていたソファに戻る。拭き終えた榊がコナンの方へ歩いて来た音が聞こえてきたと同時に聞こえたのはなにかをばらまかす音と榊の焦った声
「…やっべ」
後ろを振り向き、現状を確認したコナンは、
「もう榊さ、今日は動くな」
そう言いながら立ち上がった。
コナンが向かう榊の足元には、落ちてバラけたベビースター。
「あー…うん。たまになにやってもダメな日ってあるよな」
「榊黙れ」