凶暴な先輩(?) (8/18)
「いってぇ…」
自分のソファに寝転がりながら呻いている榊を一瞥し、ため息をはく。
いつものように榊の家に遊びに来ると、何故か今日は度々唸っていた。
「おい榊。うるさい」
「おめーには分かるまい…この痛み」
話を聞けとでも言うようにコナンを見てくる榊の目に気付き、嫌々ながらも訳を聞くことにした。
「何なんだよさっきから」
「そうさ!よく聞いた!あのなー俺のツレに空手がくっそ強ぇやついんの」
「空手?」
「ん?おお…あ、そっか確か毛利も空手やってんだっけ?…毛利より強いんでねーの?空手部主将で確かなんかの大会で優勝してたし、なんちゃらの貴公子とかいう呼び名付いてたし。あ、俺らの1個上だっけ」
「先輩じゃねーかよ」
「そうそう、まこっちゃん…あ、その先輩な?そのまこっちゃんの携帯の着信無断でいじって「魔王」にしたんだよ、遊び心で。んで、それにまこっちゃんが気付かなくてさ!しかも授業中になったらしくて。くっそ笑ったんだけど。授業中に急に「おとーさん、おとーさん」だぜ??想像するだけで…あー俺もまこっちゃんと同じクラスなら良いのに!
まあ、それで怒ったまこっちゃんに襲われたのさ!9割方避けたけどやっぱ速ぇのな、1発1発が。手加減はしてんだろうけど当たってるっつーの。」
「は?避けた?」
なんでも無いように話している榊の口から出た引っ掛かる言葉。驚きながらも聞き返したら
「おー…まあ避けるだけなら出来るよ。反撃出来ねーけど。ほら俺動体視力いいから?」
ドヤ顔で言い返した榊にため息しか出ない。
「それでその有り様かよ。榊バカだろ」
「まこっちゃんの反応面白いんだよ。てか俺着信元に戻してねーけど直ってんのか?まこっちゃんそういう操作しねーのに…まあ、今も魔王ならそれはそれで面白いか」
ニヤニヤ笑いながら話している榊を見ながら、会ったこともないがこいつの餌食になっているその先輩とやらが可哀想に思えてしょうがなかった。
「つーかなんでその先輩と関わりがあんだよ。お前部活入ってねーじゃん」
「バイトあるからなー部活はやってねえよ。あー、なんでだっけ?忘れた」
こいつ地味に交流関係広いよな…。