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▼きっかけスイッチ

「もう!!本当にふざけんじゃないわよあのクソ野郎!!!!」

苛立った声を出し、イッキ飲みしたビールジョッキを勢いよくカウンターに置くミソラを横目に、ビールを煽る。

「だーから言っといたでしょーが、あの男はやめとけって」

「だって3ヶ月よ!?3ヶ月!!あっちから告って来て散々好き好き言っといて、他に好きな奴が出来たから〜ってふざけんじゃないわよ!!!!」

「あー、はいはい」

憂さ晴らしに付き合えと俺を連れ出して入った飲み屋で既に3杯は飲んでるにも関わらず、未だにスッキリしていないらしいこのお嬢さんはなんでわざわざ俺を連れ出すかねぇ…こっちのことも考えろってんだよ

「簡単に捨てられる様な男なら別れて良かったじゃねーの?」

「サッチには分かんないわよ!!」

なにがですかー?だったら俺のこともわかんねーだろ。誰が好き好んで、惚れてる女の恋愛事情を聞かねえといけねーんだよ。ふざけんな、俺に惚れろ。…とか内心思ってはいるが、流石に怒り心頭のミソラにんなこと言わないけど。

「…なんでこう、上手くいかないのよ…」

急に弱気になったその声に、思わずミソラのほうを見れば、下を向くように伏せられた目尻に涙が溜まって今にも溢れそうになっていた。

あぁ…クソッ…

「んな心配しなくても俺が貰ってやるから安心しろよ」

「……………え?」

ミソラの泣き顔にグラリと来て思わず言った言葉。呆けた顔で此方を見るミソラに、これ以上乱されないようにわざと余裕そうに振る舞う。

「ほら、もう帰んぞ」

ふらつくミソラに手を差し伸べて、カウンターに金を置く。引っ張る様にして手を繋ぎ、俺の後ろを歩くミソラからは混乱しているような声が聞こえる。そうだ、いつもサッチさんのペースをいとも簡単に崩しているんだからもっと悩めよ。


きっかけスイッチ
そんでさっさと俺に惚れちまえ。好きなだけ甘やかしてやるから


題名:確かに恋だった

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