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▼ベクトルの不一致

「っやめ、…嫌、です…ク…ザン大、将」

「あらら、それにしては嬉しそうに見えるけど」

「も、うっ…ぃや…」

「ユウが悪いんだろ?また女の子に手だして」

「ひぅ…許し…」

「だーめ」


「っていう夢を見たんだけど、これって何かの暗示だよね?」

「………何ふざけたこと言ってるんすか。んなこと言っている暇があるなら手ぇ動かせ。ぶっ殺すぞ。」

「あらら、俺一応上司何だけど。」

ふざけたことを言い出した上司の貯めた書類で机の上だけでなく横にも積み重ねられている。やってもやっても終わらない書類のせいですでに一ヶ月以上休みを取れていない。
そのくせこのくそ上司はどんなに追っかけても散歩と称して逃走する。

くっそ…

「そのチャリ全部分解して海に流してやろうか」

「何恐ろしいこと言ってんの」
「突っ込む暇があるなら手ぇ動かせ、大将」

「はい」

この青雉のせいで休む暇もねえし、ましてや夢に見たとかほざいてるような可愛い女の子を口説く暇もない。ストレスは溜まる一方で、始めのころは丁寧に話していたが敬う気持ちがどっかに行った。

「女が足りねえ。癒しがない。…あ、海軍辞めるか。ハハッそうだ。それがいい。」

幸い大将付きの文官になっている現状のお陰で、しかも残業も多く、使う暇がないから金は貯まる一方であるし。

「何?溜まってるの?なら俺とヤル?」

そして上司からのセクハラにも耐えている訳だし。センゴクさんも許してくれるんじゃないか?…ああ、駄目か。俺の他にこの人に着いていける奴がいない。

「アッハッハ…そして近寄ってきてんじゃねーよ。」

「え」

カチャリ、と音を立ててクザン大将の手を拘束しながら笑みを浮かべる。

「あらら、何でユウが海楼石の手錠何て持ってるの」

「センゴク元帥から使用許可を頂きました。」

さあ、さっさと仕事しろ。俺は今から仮眠を取る。あんたのせいで最近寝れてねえんだよ。

文句を並べながら、大将が机についたのを確認し、そこらにいた海兵に見張るように言いつける。

「あ、もし逃げだしたら俺海軍辞めるんで。」

「え!?ちょ、ユウ!?」

寝不足の頭には酷く響く大声は扉を閉じると同時に消えた。


ベクトルの不一致
「ユウさん流石。」
「ああ、…確か昨日、背後にブリザード的なのが見えてたしな。」
「元帥の所に突撃してるの見たぞ、俺。」

「そこ、ぐだぐだ煩いんだけど。」

「「「すみません!!(寝不足でキレてる!!!)」」」


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