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- ナノ -
▼兄という人間

私には兄がいる。

正直、私には理解できないレベルで頭が良いし、運動もできる。現在高2でバスケ部に所属。よくは知らないけど優等生らしい。
友達と話しているとたまに言われる。
「ミソラのお兄さんかっこよくていいなー!そんなお兄さん欲しいわ」

…正直、その感覚は分からない。
そもそも兄をかっこいいと感じたことはないし、外での兄の様子なんて知らない。兄妹と言えど、それは家に居るときの話で、外に出たら血の繋がった他人だ。頭の良い兄は恐らく、自分がどんな風に立ち振る舞えば楽に都合のよく生きれるか知っているだろうから、いいこちゃんしているんだろう。
それでもどう頑張っても結局兄は頭が良い分、周りを見下しているし、性格も悪い。
決して家でそれをあからさまに出しているわけではないけれど、これでも私は兄の妹を15年とやっている訳だし、仕事で忙しい親よりは学生の私のほうが兄と接する時間は多い。
兄の考えを理解することは出来ないけど、知っていることも多い。

親が居るときは猫被っている兄だけれど、私しか居ないときはわりと素に近い(おそらく)。これはおそらく妹に生まれた私の特権のようなものなのだろうけど。
流石にいかに頭が良かろうとIQが高かろうと24時間猫被るのは無理があるんだろうし。


別に特別に仲が良い訳ではない。ましてやブラコンとかシスコンとかなんてあり得ない。
それでも好きな本の話とかするし、聞き流されてはいるけど愚痴やハマっているものの話とかもする。

「おい、ミソラ」
「ん?ああ、これ?この間話してたマンガだよ。やっぱり欲しくなって買ったんだけどお兄も読む?」
「見るからにつまんなそーじゃねえか」
「意外と面白いよ。あ、あとこないだ借りた小説面白かった。後で部屋に持ってくね」
「ああ」

やはり兄は兄でしかない。たまに不機嫌なときは面倒くさいけど、ほっとけば勝手に解決してるし、わがままだし、良い兄ではないけど。今さら何かが変わるわけでもないし、私は今の兄に満足…というか慣れているし。
特に兄がいて嬉しいとか嫌だとかはないのである。


花宮真という人間
「というのが私からお兄を見たときの感想ですが、何か変ですか?今吉さん」
「いや〜妹チャンもなかなかドライやね」
「そうですか?初めて言われました。
…それよりここに今吉さんがいることはお兄にメールしてあるのでそろそろ来るんじゃないですかね」
「そないなことせんでも良かったんに」
「いえ、私としてもお兄の先輩と二人きりというのは嫌なので」
「あら?嫌われてしもうたわ」


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