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▼教えてください

女の子が集まってお喋りをし始めると大体どこかのタイミングで恋バナになることが多い。放課後に暇をしていた友達とお喋りしていたら友達の彼氏との馴れ初めや愚痴を聞いてた筈なのにいつの間にか話題が自分の方へと向いていた。
「ミソラは好きな人いないの?」

聞かれた質問にドキリとした。
あまり自分の話はすることがない…というより恥ずかしくて毎回話題を変えるようにしているのだけど今日はどうしようもできないみたいでニコニコ笑顔のまま私に催促している友人たち
仲のいい友人にここまで追い詰められると逃げ場はないわけで、

「……い、いるよ。」
認めた瞬間に賑やかに騒ぎ始める友人たちと対照的に今まで人に話さなかった事を言ってしまった恥ずかしさから顔が赤くなるのを感じて咄嗟に席をたつ
「ちょ、ちょっとトイレ行ってくる!!」
言い終わる前に思わず走り出した
「あ!逃げた!」
聞こえた声はなかったことにしてそのまま走る
何で今まで言わなかったことを口にしてしまったのだろう、誰かに聞いて欲しかったのかは分からないけど


クラスの中のムードメーカー的な黒羽快斗くん。名前だけなら前から知っていたけど、話したのは同じクラスになって席替えで隣になった最近。人見知りが激しい私にも笑顔で話しかけてくれたけれど最初は苦手だった
明るすぎて彼とは正反対な自分を見せつけられている気がして…

けれど、快斗くんと隣になってすぐの週末に出掛けた先で手品をしている彼を見掛けて、
まるで魔法みたいにキラキラしていて周りで見ていた子供たちに笑顔で接している様子が凄く印象に残った

その日から少し快斗くんへの認識が変わっていったのだけれど…

「好きになるなんて」

思ってもいなかったから
ひたすら隠していたのだけれど
友達が恥ずかしそうに、でも嬉しそうに話しているのを聞いていて思わず言ってしまった


自分を落ち着かせるために駆け込んだトイレから出て、いっそ全部話をしてみようと教室に帰ろうとしていたとき
「ミソラちゃん」
「黒羽くん!?」
聞こえて来たのはさっきまで頭を埋め尽くしていた人の声で驚き振り向けば快斗くんが居てドキリとした。

「ど、どうしたの?黒羽くん。」
どうしよう、声、震えてないかな、恥ずかしくて快斗くんのこと真っ直ぐ見れないや。変に思われてないかな。

快斗くんは少し迷った様子で下を見て、あー…とか、その、とか口ごもった後、顔を上げた。その顔はまるで、覚悟を決めたようで、真っ直ぐに私を見てきて、

「ミソラちゃんって、好きな奴いんのか?」
「え…、あ、も、もしかして聞いてたの!?」

気まずそうなに顔を反らした後コクリと僅かに首を縦にふった快斗くんを見て自分の体が固まるのを感じながら、それでも懸命に思考を巡らす。
そんな私を関係無しに快斗くんは声をかけた。

「なあ、誰だよ?好きな奴」


好きな人にこんなこと聞かれて平気な人は居るのでしょうか?

少なくとも私には無理です。

それでも、この気持ちを口に出来るほど私には度胸が無いし、可愛らしくもない。

声が震えそうになるのを必死で抑えながらようやく口にした言葉。

「秘密。」

快斗くんにはどんな風に届いたかは分からないけど。


ねえ、誰か、教えて下さい。
今、私の顔は赤く染まってないですか?

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