▼巻き込まれ事故注意報
「嫌な予感がする。」
今日も美味しいおばちゃんのランチを食べていたとき、向かいに座っていたハチが急に呟いた。
「…嫌な予感って何だよ。」
「あーこう…危ないものが接近してくる感じ」
なんという曖昧な!!つーかなんでこんなときここにいるのに私とハチだけなんだよ。他の三人どこいった!曖昧過ぎて分からない!もので例えろよ!!
例えば「あー七松みたいなことか?」
そうそう七松先輩みたいな…
「って誰だよ!!」
「おいおい鉢屋、先輩の顔さえ忘れたのか?」
つーかこの声って
「ユウ先輩!!」
「兄さん!!」
元体育委員長でハチの兄、ユウ先輩だ。
ユウ先輩は俺らが三年生のときの六年生で元体育委員長である。
そう、元、体育委員長である。
あのいけどんの原型を作ったとも言われている、体育委員長である。
私は正直、この人は苦手だ。
「なんで兄さんがここに居るんだよ!!仕事しろよ!!」
「あ?」
「あ、いえ、あの、ナンデオニイサマガココイイラッシャルノデショウカ」
「いやー久しぶりに休暇貰ったけど特にやることも無いからな、学園に来て弟に稽古つけてやろうかと思って。」
笑顔で言い切ったユウ先輩とは裏腹にハチの顔は真っ青になった。
「兄さん疲れてるだろ!?稽古とかいつでも出来るし、今日はゆっくりした方が…。」
「あ?何、俺が態々来てやったのに、出来ないとかいうのか。」
「え…いや、あの」
「出来るよな?」
「…………はい。」
ハチ、珍しく同情する。ユウ先輩と稽古とか、私なら直ぐに逃げる。
「なら行くぞハチ、三郎」
…………………は?
「私もですか!?」
「当然」
訂正。どうやら、逃げられないらしい。
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