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「#学園」のBL小説を読む
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- ナノ -
▼後ろを振り向き

最近、船の中を歩いていると後ろをつけられている…気がする、つーか絶対。
ほら今も。俺が歩き始めると後ろの気付くか気付かないか微妙な距離を開けてついてくる
立ち止まって振り向いても誰もいない。また歩き始めると後ろの奴も歩き始める
でも俺が2回目に振り向くとそれ以降は着いてこない
「…何なんだ?」


「あー、そりゃあミソラだよい」
「ミソラ?」
誰だそれ。まあ俺はまだこの船の家族になってそんなにたってないから知らない奴なんて無数に居るけど。
腹がへって食堂に行ったら調度コーヒーを飲んでるマルコがいたから最近気になっていることを話したら知らない名前が帰ってきた。
「お前が親父に牙向いてたときは危ないから離していたんだよい。」
ほんの少し前までの俺のことを言われて気恥ずかしさを感じてジト目でマルコを見るが対して気にもせずにマルコは話を続けた。このパイナップルめ。
「エースも入ったばかりだしねい。まだミソラに会ってなくてもしょうがないよい。
ミソラってのはこの船の末妹のことだよい。気になるなら会ってこい。今の時間ならオヤジのとこに居るだろうよい。」
話は終わりだという風にそのまま席を立つマルコを見送る
「末妹?」

言われた通りにオヤジが居るだろう船長室に来たが入るか入らないか迷って扉の前に立ち止まり考えていたら中からオヤジの声がした。
「グララ、さっさと入ってこいアホンダラ」
気付かれていたことに驚きながらも言われた通り部屋に入ると此方を向いて座っているオヤジとオヤジの膝に居る黒い何か
「ミソラって奴がここに居るって聞いて来たんだけど…」
もしかしてオヤジの膝にいるそれか?そう思いながら見ているとオヤジがその黒い何かを指で揺すった
「ミソラエースが呼んでるぞ」
「え!?呼んでるとか大したことじゃないぞ!?」
思わず反応したがオヤジは笑っているだけ
オヤジの笑い声で起きたのか黒い何かがもぞりと動いた。そのまま見ているとどうやら黒い何かは服だったようで起き上がったままぼんやりしている子供が見えた。
その子供は眠そうな顔のままちらりと此方を見るとオヤジになにか言った後、オヤジに摘ままれて膝からおろされた。
てくてくと此方に歩いてきて俺の前で立ち止まった子供は眠いせいなのか目をとろんとさせたままこちらを見上げてきた。
目が合って数秒お互いに見つめ合う状態だった
「……?」
「………?」
不思議に思ったのか首を傾げた子供に俺も思わず首を傾げて、またそのまま数秒互いに何も言わない状態でいる俺たち
「グラララ、エースお前ミソラに何か用があって来たんじゃねえのか」
呆れを含んだオヤジの言葉で俺はやっと本題を思い出した

「最近俺の後ろ着いてきてたのお前か?」
「……」
コクリ。少し考えたあと一度頷いた。
マルコの言う通りか

「何で俺の後ろ着いてきてたんだ?」
「……?」
首を傾げた子供を見て、俺もまた首を傾げる
もしかして特に理由はないとかか?
そのまま俺を見続ける子供にふとひたすら背中を追ってきた弟を思い出した
思わず口に笑みが浮かぶ
「まあいいか!!
俺はエース。よろしくな」
子供の目線に合わせてしゃがんで笑顔で言うと、少し驚いた顔をしたあと子供の口が動いた
「ミソラ…私の名前、ミソラ。よろしくエース」
それまで無表情だった子供のはにかんだ笑顔に庇護欲みたいなものが湧いた瞬間だった。

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