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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
▼酔い酔い

「ユウさん大好きよーい」
「おう、分かった分かった」
「良かったなあユウ!!大好きだってよぉ!!」
「うるせえ黙れ酔っ払い」
胡座をかいた上にマルコを乗せたまま、ユウ は周りにいる同期の古株クルー達からの冷やかしを適当に流しながら前に座るサッチに目を向ける
「んで?何でこんなにマルコはべろんべろんに酔ってるんだ」
問い掛ければ面白いぐらいに視線が周りに動いた後、覚悟を決めたのか開き直ったのかサッチは口を開く
「いやー、ちょーっと強い酒をマルコが一気しただけだぜ?」
「マルは酔ってないよーい」
「ちょっとでこいつがこんなになるかよ。その酒見せろ」
「あ、ちょ、ユウさん!!」
サッチが後ろ手に隠してた酒を掴んで取って見るとその酒はユウがよく好んで飲んでいる酒だった。見つかって決まりが悪そうな顔をしているサッチを見てため息をつく
「こいつは癖が強ぇからお前ら若ぇ奴らにはまだ早いっつったろ」
「だってよ…」
まあ、気持ちは分からんでもないからこれ以上サッチを引き留めんのもあれか…と考えたユウは意識を前から自分の足の上に移した
「お、説教は終わりか!?」
「てめぇも自隊の若ぇ奴らのこと見てろよ」
「いいじゃねえか!!何事も挑戦だろ!?」
「ラズの場合は何しても失敗するがな!!」
「違いねえ」
横から入ってきた常にテンションが高いラズは酒が周ってるせいでいつも以上に笑いまくってる。周りにいたクルーを巻き込んで何が面白いのか…いや、明らかに俺の上に乗っているマルコと俺を見ながら大爆笑
「はぁ…んで?マルコはどうした」
先程からユウの顔を見詰めていたマルコに目を合わせて聞くと酔ったマルコは
「マルはユウさんに頭撫でて欲しいのよーい」
「おーおー」
言われた通りマルコの特徴的な金髪を撫でながら今のやり取りで余計に笑い始めたラズ達を睨むが、対して気にもせずに笑い続けるので放置した
「さて、こいつはどうしようかねぇ。マルコは甘え上戸か」
「よいよーい」
返事にならないような返事を返してきたマルコを見ながら考える。普段は寧ろツンツンというか冷静なこの部下が酒の力にせよこう甘えてくるのは素直に嬉しい。
酒の入った対して回らない頭で考えるのを放棄してそのままマルコを甘やかすことにした
「まあ俺としては何にも困んねえしな」
此方を見て笑い続けている奴らに向けてそこら辺に置いてあった酒瓶を投げつけるとそちらから悲鳴やら笑い声やらが聞こえてきてまた騒がしくなる
そうした家族の声を聞きながらまだ続く宴を楽しんだ

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