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▼笑顔の裏に隠された

「ドフィ…貴方は赤子が生まれたときに 泣く理由をご存知ですか?」


何時もの様にユウが経営している廃れたバーに来たドフラミンゴを迎えたのは何時もの様に笑顔を浮かべるユウだった。
他に客も居ないため彼はドフラミンゴと軽く会話をしながら仕事をしていた。
その時ぽつりとユウの口から放たれた言葉は曖昧な意味を持ってドフラミンゴのもとに届いた。
少しの沈黙の後とユウが訂正の言葉を口にしようとするがそれは今まで黙っていた自分の正面にいる男によって遮られた。

「フッフッフ…それもお前がいた所の話か」

ドフラミンゴの前にいるユウはこの店を始める前にいた場所の話をよくする。それを聞きながら酒を煽るのが最近の常だった。
ユウは笑顔を浮かべながら頷いた

「ええ、そうです。と言っても一般的に言われるものとは少し違うものですが。一部の人間の皮肉によって伝わったものです。」

「赤子が生まれたときに泣くのは

世界に絶望したから、らしいですよ。」

そう言ったユウの表情は笑顔を浮かべていつつ、苦虫を潰したような顔だった。


ドフラミンゴがユウと出会ったのは偶然のことで、そこで会話を交わしたのがきっかけとなって彼の店に来るようになった。
彼の店はいつ来ても人が居ない。居たとしても一人や二人でそいつらもドフラミンゴの姿を見ると逃げるように出ていく。
そのため彼の店に来ると二人きりだ。ユウは仕事をしながらも会話の相手となっていたためドフラミンゴが彼のことを知るのは当然のようなことだった。
ユウという男は最近のドフラミンゴのお気に入りだ。笑顔で話を聞き、たまに思い出したかのように色々な話をする。そのほとんどは今語った事のように突拍子も無いことだが、その時のユウは普段の笑顔の中に嫌悪感と懐かしさを混ぜたような顔をする。ドフラミンゴにはそれが面白くてひどく愉快だった。


「フッフッフ…ユウ、そこに帰ろうとか思わねえのか」

「とても面白いことを言いますねドフィ。…あんなにつまらない場所はありませんよ。」


そう言いながらユウはやはり顔を歪めるのだ。

答えは虚ろに消えた

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