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中二病とか恥ずかしくないんですか



ある日(友達と王様ゲームをしていて指示された中二病台詞をバッチリ決めて)、目を開けたら超絶イケメンな中二病男子になっていた。こりゃ某「体は大人!頭脳は子供!」…違う、「体は子供!頭脳は大人!その名は…」の名探偵も驚くだろ!


と、言ってみた所で、俺の視界は今狭い。何故かと言うと紋章?みたいなのが浮かんでいる左目を隠すために眼帯をしているためである。最初は慣れずに色んな所にぶつかってそれを誤魔化すために「くっ…古傷が…っ!」みたいなことを言ってたらいつの間にかこの町では訳あり青年的ポジションに収まってた解せぬ。今では眼帯に慣れたから普通に動く分には支障がないんだが、こういうときはどうにも片目だけだと動きにくいから眼帯を取ることになる。


どういうときかというと、

「待ちやがれぇぇぇぇ!!」

何故か海軍に追われている時である。何故だ。
恐らく昨日自分の左手の紋章が結局のところ何なのか気になって人通りのない路地裏で腕に力を込めたらなんか光って次の瞬間に気付いたら近くにいた海兵の足元を黒いなにかがまとわりついていた、あれのせいだとは思うけどあんなの事故だろ??大丈夫でしょ!あれくらい。
海兵ぶっ倒れてたけど何にも異常なかったからヤバイかな〜って思いながら宿戻ったけど別に追われるほどのことじゃないよね!!オーケー、問題なし!

「見付けただぞ!冥府の使徒ルイ!!」
「!???!!?」

冥府の使徒?!?なにそれ!始めて聞いたぞ!!めっちゃ厨二じゃん!格好いいな??ならば見せつけてやろうじゃないか!態とらしく深く息を吐いた後、前髪が邪魔にならないように頭を振るう。開けた視界で、といっても眼帯装備中のため右目しか見えないけど目の前の海兵を睨み付けた。そもそも俺なんでこいつに追いかけられてんの…。まあいいか。我オート戦闘つき強キャラ系厨二属性ぞ??

「フ…己の力量を認められない者はよく哭くものだ」
「貴様ァ!!海賊ごときが何を言う!」

「!?!?!!?」


目の前の海兵が怯みながら放った言葉に衝撃を受けた。頭のなかでテロップが豪速球レベルの速さで流れてくる。

【速報】いつの間にか海賊になっていた模様

あ、…もしかして元々か????ええええ…だから身体能力こんなに高くてオート戦闘モードなの?たまに攻撃避ける為なんだろうけど突然しゃがみこんだりするからめっちゃびびるんだぞこちとら。くっそ……もういいよ、こうなったら!!

空いていた右手で左目の眼帯を取り払い、見せつけるように放り投げながら詠唱を唱える。こんなの初めてで興奮しちゃうね!左腕、特に紋章部分が熱くなるとともに咄嗟に動いた腕が刀を振るう。

「冥府の門開く所に我はあり 霊界の王よ、汝の呼び声を聞き遂げよう!満ちれ、常闇の星光よ 堕天虚空無双刃(ジュースティング・オーケストラ)!!」

眩い光が放たれたと思ったら、敵の体に当たった瞬間に黒い闇の靄のようなものが体内へと入り込む……??待て待てなにそれ。なにそれ!?
苦しそうに跪く男たちを見ながら驚きを何とか、無理矢理押し込んで、背中を向けた。やるなら最後までやりきらねば。

「冥界で俺に詫び続けろ」

…冥府の使徒とかいう厨二ネーム聞いたせいでめっちゃ冴え渡る痛い技。すげえ……必殺技的なの出来てしまった…。
少しの後悔と多大なる興奮に包まれた身体を落ち着かせるためにも、宿屋に向けて歩みだした俺だったが。

「おい」

曲がり角で曲がった先に待ち構えていた高身長柄悪イケメンに声をかけられると同時に、膝から崩れ落ちたのはさすがに予想外である。

…海軍隊の人数が多かったのはあると思う。だけどな!?
中二病能力でHPごっそり減るとか聞いてないけど!??
どうなってんだよこの身体?!!
オート戦闘モードを携えているのは助かるが、謎の中二病設定を抱えていることにも気付いたのはその時のことである。そうして意識が遠退いた俺は、声をかけてきたのがかの有名なトラファルガー・ローだったことには気付く余裕がなかったし

次に目を開けたとき、両手を人質?に取られ脅しと同義の勧誘を受けるとも知らなかったのである。




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