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甲板の隅に一組の影があった

「ちょ、やめろって名前!」

「やぁだよ」

寝転がったサッチの上にわざと体重をかけるように頭を預ける。グリグリと腹へと頭をぶつけるとサッチの抵抗はますます大きくなる

「…ならさぁ、これでいいよね」

「はぁ?」

不満げに一度体を退けた名前は、あっという間に犬の姿へと変えていた。

「えええ…名前…えええ…」

イヌイヌの実、モデルフォックス。能力者である名前は犬へと体を変化できる。
サッチの嫌がる態度に対抗して犬の姿になった名前だが、

「(可愛くねぇの)」

正直に構えと言えばいいのにと思いつつもすり寄ってくる名前の毛並みを撫でる
あまりにも不器用な甘えかたに笑いが出てくるが、今ここで笑ってしまったら名前は拗ねて部屋に帰ってしまうだろう。

天気がいいからと部屋に引きこもっていた名前を無理矢理甲板に連れ出したサッチからすれば、それはぜひとも避けたいところだ。

寝転がったままのサッチに押し乗り、首もとを甘噛みしはじめた名前をそのままに、抗議の声をあげる

「いたいっつーの」

勿論、痛さはなにもない。しかし、恋人と戯れているのに、犬の姿のままの名前が人型に戻ればいいと思って言ったことだった。
それに気付いたのか、一度低く唸った名前は人型へと戻る。

突然変わった名前の体重に耐えきれなかったサッチはそのまま背中を打ち付けるかと思ったが、伸びてきた名前の手に首を捕まれた

「なん…」

「うるさい黙れ」

サッチの口を塞ぐかのごとく噛みつくように自身の口を寄せた名前によって言葉は途中できれた


黙れよ、阿保
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