×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



教室の扉を開くときに恐る恐るになってしまったのはしょうがないことだと思う。
隣の席に好きな人がいるっていうのはドキドキすることだけれど、昨日の今日で平然とした顔をすることは難しかった。

「いつものように…いつものように…」

落ち着けるように呟きながら入った教室。下を向いていた顔を上げれば、隣の席にはすでに快斗くんがいた。

「っ…」

どうしよう。いつもどうしてたっけ。
顔を赤くしないようにするのが凄く難しく感じた。普段はどうやって挨拶してたのか不思議になるくらい、今の私の心臓は早く動いていた。

「なあ、誰だよ?好きな奴」

昨日家に帰った後も何度も頭の中で繰り返される快斗くんの声に、止めるすべもないほどに胸が高鳴る。…どうして、どうして。
なんであんな焦らすような目で、真剣な顔で聞いてきたの。

「黒羽くんおはよう」

「名前ちゃんおはよう」

いつもなら普通に出来る挨拶も、快斗くんのことを意識してしまう。こんなので一日過ごせるのか不安。

「……好き、だなあ…」

「…え?」

突然聞こえた声に、自分が無意識に思いを口にしてしまったのかと一瞬思った。…けど、今の、声は…
どんな反応をすればいいのか分からなくなって、全ての時が止まったのかと勘違いしてしまいそうな静寂。騒がしかったはずの教室全体が勘違いでなく静まり返ってたいた。
え、今の、本当に…。
快斗くんのすぐそばにいた男子が口を開いたことでようやく時が動き出す。

「おい…快斗?今の…」

「へ?」

「いや、あの…名字に向かって…」

「………え?口に出して、た…?」

ゆっくりと頷いた男子を見た快斗くんは、そのまま私の方へと首を向けた。どうすればいいのか分からなかったけれど思わず頷いたら、快斗くんは顔を手で覆った。

「ああああああ…なに俺馬鹿じゃん…。いやもういいや。……うん。名前ちゃん!!」

何かを自己簡潔したらしく、決心したような顔で名前を呼ばれた。え、嘘、ちょっと待って…え?

「好きです、俺と付き合って!」

予想外の言葉と、突然の告白に、理解が追い付かない。顔に熱が集まるのだけが感じられた。
私が反応出来ない代わりに、一気に教室内が騒がしくなった。いつも一緒にいる友達が駆け寄ってきた途端に実感する。そうだよ…ここ、教室だった。

「名前!返事、しないの??」

ニヤニヤと笑いながら顔を覗いてくる友達の言葉に、また教室が静かになる。……これ以上ないくらい速くなる鼓動に、心臓が壊れそう。


答えてください、好きな人
「…よろしくお願いします!」
絞り出した小さな声に、教室内が一気に沸く。嬉しそうに笑った快斗くんに、つられて照れた笑いが出た

prev next