寝息の中に生きていたい
「眠たいです。」
ジリジリと暑い日差しが照りつける日中、快適な温度に調整された室内。ソファに座る赤井の隣に座り、本に目をやっていた名前が唐突に呟いた。
「…で?」
普段は大人しいこの少女、ふとした時にポツリと反応に困ることを言う。赤井からすれば、だから何だ、という話だ。
「お借りします。」
また、意味を通すには足りない言葉を言ったかと思えば、名前の頭が赤井の膝の上に乗せられた。赤井は名前の突拍子もない行動に慣れていたし、名前も赤井が文句を言わないのを分かっている上で行動に移したためか、何の違和感もない。
「…固い」
「知らん」
何処から取り出したのか薄い毛布を体に掛けながら文句を言う名前の頭を軽く叩く。
対して気にした様子もなく、モゾモゾと動いた後、安定する場所を見つけたのか、名前の動きも止まる。
「眠たいです。」
「ああ」
「…頭撫でて下さい。」
「…」
赤井からの返事は無かったが名前はそのまま目を閉じる。名前の突拍子頭の上で暫し戸惑ったようにさまよっていた赤井の手は、結局そのまま名前の頭を撫で始めた。文句の代わりとでも言いたげに溜息を吐いたが赤井が名前の頭を撫でる手は酷く優しい。
引っ張り上げた毛布で口許を覆った名前の唇は満足げに弧を描いていた。
「お疲れ」
微睡みに誘われ段々と意識が遠退いていた名前が聞いたのは労るような一言だった。
寝息の中に生きていたい
改めまして、らむ様。一周年&五万打おめでとうございます!遅くなってごめんなさい!!大好きです!!
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