隠していたナイフの切っ先は
俺が城戸家に引き取られ、執事として育てられている間、教養や執事としてのスキルは勿論としても行き過ぎるほどの格闘術や運転技術は身に付けている。この世界でいうなら有名であろう空手合気道剣道に始まり、ボクシング截拳道サバット…多様なものを身に付けた。結局のところ園子嬢を守ることさえ出来るのであれば型には拘らない、というところで落ち着いたが…。運転技術に関しては余計になるため別の機会へと回そう。
つまり自分で言うのも何だが、俺はそこそこ強い方である。後ろに立ったことにも気付かない犯人の頭に向けて腕を振りかぶる
叩き付けた拳を開くと共に、目の前の男が崩れ落ちる姿を確認し、詰めていた息を吐いた。
今回の犯人達は比較的簡単に終わりそうである。
既に建物に侵入してから5分足らずで犯人は倒し終えたのであろう。犯人たちから拝借した通信機は役目もなくただぶら下がっているだけのガラクタになっていた
残るは…園子嬢だけなのだが
「今日も約束を守っているといいのですが…」
この室内の扉の配置的に人質を置くなら地下か奥の一室だろう。
地下に続く階段の使用感や見張りの配置から地下室は使っていない。となると残りは…
流石にランネーチャンみたいな一撃で扉破壊は荷が重いので至って普通に犯人から拝借した鍵を使って扉を開く
どうやら暗闇だったらしく暗闇に光が射し込むように室内の散乱した用具を写した。
奥に横たわる影へと足早に近付き手首と頬に触れる。
「お待たせ致しましたお嬢様。帰りましょうね」
約束通り、瞳を閉じて浅い呼吸を繰り返す嬢の体をゆっくりと抱き上げる。
脈拍正常呼吸問題なし怪我も伺えない
掌から感じる体温に一先ずは安心しながら汚い部屋を後にした。
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