守りたいからここにいるんだ
「お嬢様が"鈴木"園子である限り、怖いことが付きまとうでしょう。見たくないことを見るかもしれません。どうしようもない輩に襲われるかもしれません。その時、俺を呼んでください。必ず、必ずお助け致します。だから俺を呼んだ後は目を閉じて、耳をふさいで何も見なくて良いんです」
園子の小さい手を握り、城戸は優しく笑う
「呼べば必ず助けます。だからどうか何も心配しないで下さい、お嬢様」
白い手袋越しに感じた暖かさと、城戸の真っ直ぐに見詰める瞳に、園子の瞳から涙が溢れた
「…約束?」
唇を噛み、我慢していた気持ちを少しだけ溢れさせて手を握った
「ええ、約束です」
それはある日の記憶、微睡みの中で一番に思い出す園子と城戸の本当の始まり。
だから園子は瞳を閉じるのだ。
城戸は必ず来るのだから。
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