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この矢の先にある未来が平和ならばと


昔の話である。
まだ園子が小学生の頃、執事長に連れられ入ってきた年上の青年。


「宜しくお願い致します、園子お嬢様。城戸焔と申します。」

園子の前に片膝をついて頭を垂れた青年の姿に驚いたのだ。まだ若い、20歳ぐらいの綺麗な人。好感を持たせる笑顔を見せたその青年が自分の執事になると聞いて喜んだのだ。だって園子にとってはじめての自分の執事だったから。

顔合わせをした一週間後には鈴木邸に城戸の姿があった。初めは警戒していた園子だが、元から明るい性格である。積極的に城戸と話をした。好きなもの、嫌いなもの、得意なこと、趣味、身長、様々なことを聞いてみたが全て園子が楽しめるように話してくれた。
城戸は園子の相手をしながらも屋敷内の仕事をどんどんと学んでいった。園子が気付いたときには屋敷内の人間は城戸に困ったことを聞くほどになっていた。なんでも万能にこなしてしまう城戸だからつい困らせたくなって無理難題も押し付けてみたが容易く答えてくる。悔しくなるから余計にやらかしたこともあるが今考えればそれは子どものかわいい悪戯だから許されるだろう。
園子が知る限り、園子相手に城戸が怒ったことはない、と思う。宿題をやらなかったり、駄目なことをした時、城戸は諫めてくる。やることをやる理由を教えてくれる。必要な知識を与えながら、なぜそれが大切なのかをきちんと理解させてくれる。
だから園子にとって城戸焔は大切なのだ。
園子を想い、守り、育んでくれるから。

だから園子は守るのだ。

城戸との約束を。




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