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※死ネタです


死ぬときに笑顔で死ねるのならそれは充実した人生だったと言える、と思うの

ひとり静かな部屋でただぼんやりと考える。どうしたら笑ったまま死ねるのか、とかそんなことを思えば頭をよぎる銀色。
最後に会ったのはいつだっけ。香りも仕草も全部思い出せるのに本人だけはここにいない。
怖いくらい頭の中を占める銀色に、ただ、ただ…

会えるのはたまにだけ、私から連絡は取れない。メルアドなんか知らない。突然前触れもなく家にくる。一緒に外に出掛けることなんてなかった。
それでもいいから、一緒にいれるだけで嬉しいの。彼が、ジンがまた会いに来てくれただけで満足できるくらい彼のことが好きだったんだ。

だって私は知らなかった。
人を想うことがこんなに辛くて、悲しくて、寂しくて

それでも、こんなに幸せなんて。


だからね、

乾いた銃声の音と、手にかかった衝撃、途端に崩れ落ちた自身の体。周りを染めていく赤黒い海。
今まで拳銃なんて使ったことのない私でも、胸に当てて撃つくらいなら外すこともないでしょう

「ジ…ン……」

私はこれでも幸せだった。ジンが部屋に置いてった拳銃。どうせ彼のことだ。こんなことさえも想定の内でしょう?
最後の最後まで彼のことを考えてしまうほど溺れてしまった。けどね、 あなたのことが好きだったのよ、ジン。

目の前で目を見開いてる人はあなたと違ってきっと正義を持つ人なのね、あなたが夢中で追っていた宿敵さんなのかしら。私以上に思われている宿敵さんに妬いていたのに…目を見開いて悔しそうにしている顔にそんな気持ちも何処かへと消えた。


私はあなたの記憶に残れるような女だったのかな。頭の片隅にでも傷痕が残せたのならそれでいいと思えるなんて…無理なことだとしても、少しくらい願っても良いでしょう?

mae tugi