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人のふりを見たが我がふりなおさず

久しぶりに休暇を取れたから、海軍本部から離れた島にやってきた。前に一度、海賊が暴れているのを取り押さえたことがある島だ。飯が上手いという話を聞き、なんとなく足を進めた。

粋なオヤジがやっているような飯屋に入り、メニューを決めている途中でふと気が付いたことがひとつ。目の前のカウンターに座って相当な量を食ってる野郎の背中の大部分を占める刺青…白ひげ海賊団のマークじゃね?
名前を覚えられない分、海賊旗は覚えるようにしてるんだが…え、白ひげ海賊団じゃね??
テンガロンハット首にかけてるのが誰なのかは知らないが…えぇ、俺休暇中だから仕事しねえよ。他のやつやってくれ。

あー、そっか、白ひげって四皇だから迂闊に手を出せないのか?なら見逃しても別にいいよね、休暇中だから俺には目の前の海賊は俺には見えてない見えてない。


腹減ったしな、飯だ。飯。
ちょうどこっちに来た店員に注文し、目の前の背中をまた眺める。俺よりも随分前に店に入っていたらしい彼は頼んでいた皿を全部食べ終えたらしい。積み重なってる皿の数から相当な量を食ってるはずだが、…ありゃあどんぐらいすんだ。食費だけで馬鹿にならないな。

「おっさん!旨かった!!…じゃ!」

「おい!?待て!!金置いてけ!!!」


おお…っと、これは…

「食い逃げだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!捕まえろ!!」


目の前で食い逃げが起きた。俺今休暇中だし無視してもいいか?

駄目か。この島、在中海軍いねーし…。
おもむろに立ち上がり、店主に注文のキャンセルを言い付けてから店を出る。例の食い逃げ犯が逃げていった方向に向かって思いっきり足を踏み出し走れば風が頬にあたる感触。それさえも現在の空腹感を増長させているような錯覚に陥る。

あー……腹減った。

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