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小は大をかねる

ジオ大佐。一部の海兵に圧倒的人気を誇り、多くの海兵が妬む若い大佐。
「理不尽な正義」なんてものを掲げているせいで海軍上層部にも疎まれることもあり、海兵からは恐れられる。その一方でセンゴク元帥からの信頼は厚い。
自隊の海兵の統率力は高く、隊の中から負傷者が出ることは少ない。



らしいんだけどねェ


「ボルたぁいしょー」

目の前のソファに横たわってこっちを見ている彼からは想像出来ないよねェ

ガチャガチャと音を立てる彼の手の中にはどこで手に入れたのかルービックキューブが収まりまばらな色がそれぞれ主張しあう

「それでェ?君は何をしにきたんだァい?」

執務室に戻ってきたボルサリーノを出迎えたのは勝手に寛いでいた部下。黙って向かいに座った上司を気にする様子もなく寝転がるまま。ボルサリーノをボル大将だと呼ぶ人間は海軍において一人だけ、ボルサリーノの部下になったときは警戒しかしていなかったこの面倒な部下しか。

「さっき巡回から帰って来たんですけど、それ途中で進路変えたんでその報告ですよ」

その報告書が乗っている机の上を指しながら笑うジオに反省の色は特に無い。予定されている航海予定地から外れた行動をするジオにせめて報告をしろと言い付けたのはセンゴクだった。

「あ、あと出会い頭どっかの海賊とドンパチやりました」

「またかァい?そろそろ進路変えるの止めればいいんだけどねェ〜」

「だってカモメがいたから。追いかけたくなるじゃないですか」

周りが評価するほどこの少将は物事を考えていない。涼しげな顔で腹の中では一物抱えていそうだと見えるが、比較的楽観的思考のリーダータイプとでもいうべきか。
本人にはその意志が無くとも周りには敬われる。何も考えずに言った一言を周りが深読みする。彼の周りにいる部下など良い例だ。
なんともまあ…

「難儀なこって」

「いきなりなんですか」

彼と周りの温度差に気付いている奴がわっしの他に居るのかは知らないが…、多分居ないんだろうが。海軍上層部、特にセンゴクさんさえも気付かせないこの性質はある意味悪魔の実なんかよりも厄介に成りうるんだけどねェ

本人にそこまでの自覚は無し、そして実際にはジオ少将が動かしている海兵の負傷者は少ないし、その海兵からの信頼もあり、本人に曰く「何となく」で勝手に動く航海でも海賊を捕らえることがある。


「都合のいい話だけどねェ〜」

「さっきから話通じてないんですが。俺そろそろ戻ります」


勝手に部屋に入って勝手に出ていったその後ろ姿には、少将になれとセンゴクさんに言われた時にこちらまで伝わってきた威圧感など感じもさせず、
この部屋を出れば途端に周りが思わず背筋を伸ばすような冷やかさを纏った少将に成り変わるのだから…

「何が理不尽かって…そりゃァあれを天然でやっていることだよォ〜」

結局は彼の人となりが「理不尽」なのである

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