貴方に初めて会ったのは、もう何年前になるのだろうか――。
山奥を彷徨っていたところを光明三蔵様に助けられ、連れて行かれた金山寺に彼はいた。
神々しいまでに光輝く金糸の髪に、吸い込まれそうな紫暗の瞳。
きっと私は、その瞬間恋に落ちたのだと思う。
「オイ!名前、どこにいやがる?!」
あれから何年経ったのだろうか。
かの少年は、立派な三蔵法師となった。
「何、三蔵?!ここにいるよ〜!」
そして私は相変わらず、この人の側にいるのだ。
「チビ猿が腹空かしてうるせぇんだ。どうにかしろ。」
最高僧の癖に煙草を咥え、三蔵は尊大に言い放つ。
それさえも愛しいと思う私は、きっと末期なのだ。
「悟空が?さっきも食べたのに…。」
「バカ猿の胃袋はブラックホールだからな。」
「三蔵も何か食べる?」
名前が問い掛ければ、三蔵は紫煙を吐き出した。
「…いや。俺は良い。…夕飯、食えなくなるしな。」
その言葉に、名前は笑う。
「期待してて!年に一回の三蔵の誕生日だもんね!腕にヨリを掛けて作るから!」
「フン…。毎年言ってる気がするがな。」
「だって毎年頑張ってるもん。」
へらっと笑う名前に、三蔵は苦笑する。
「…あれから何年経ったんだろうな。」
不意に三蔵が紡いだ言葉に、名前は微笑む。
「忘れちゃった。でも…。来年もあたしを側に置いてね?」
答えは無く頭に置かれた手に、これ以上ないぐらいに幸せを感じたんだ。
Happy Birthday,SANZO!!Since:2010/11/29
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