トレーナーカードが完成し、私たちは早速ポケモンセンターで部屋を借りた。

ポケモンセンターでは、トレーナーカードさえあれば部屋は無料で貸してくれるそうだ。
しかし、何かしらの理由がない限りずっと居座るのは難しいらしい。理由もなく滞在すると、強制退去。何度も繰り返せばブラックリストに載ってしまい、ポケモンセンターのトレーナー施設を使用できなくなるんだとか。

他の施設は、治療は勿論、レストランなんかもある。そこでは最低額での食事が可能で、お金を掛けたくない人は宿泊施設に備え付けられているキッチンで料理する。

ちなみにレッド君は、大体朝にポケモンセンターへやって来て、お風呂と朝食はその時済ますのだと教えてくれた。
ついでに、今はレッド君が借りた方の部屋でジョーイさんが入れてくれた紅茶を飲んでいる。美味しい。この茶葉がどこで売っているのか、今度聞いてみたい。


「ところで、私ジムバッジ一つも持ってないんですけど・・・シロガネ山に入っても大丈夫なんですか?」

「・・・僕が保護者だから」


伝説が保護者だと、色々融通が効くみたいだ。寛容すぎる、ポケモン世界。

紅茶も飲み終わり、お風呂に入る為私の部屋に戻ることにした。この世界の常識とかは、わからない時にレッド君に聞けば教えてくれるだろう。ポケモンセンターの使用法がわかれば、とりあえずはシロガネ山で生活できる、と、思う。

部屋までの移動は、靴がないのでやっぱり姫抱っこでした。完璧過ぎる美形が至近距離にあるのは、流石の私でも慣れません。早く靴欲しい。






「ふぁー・・・気持ちいいけどすっごい沁みる・・・!」

「フィー・・・」 「ちゃあ?」

「ん、大丈夫だよ」


レッド君と喋ってる間に溜めたお風呂は、適温でとっても気持ちいい。折角だしということで、キティとレディも一緒に入浴中。(インは大きすぎて無理だ)

岩で傷付いた足にはしみたけど、それでもやっぱりお風呂は幸せ。心配してくれる可愛い仲間がいるから、更に幸せ。


「まずは君達のシャンプーをしたいと思うのだけど、どっちが先にする?」

「ぴっか!」

「ん、じゃあキティが先ね」


キティを抱き上げ、膝に乗っけてシャンプー開始。


「目、つぶってないと痛い痛いだからねー」

「・・・ぴーっか」


何だか、お母さんにでもなった気分。レッド君もこんな風に手持ちの子達をお風呂に入れたりするのかな、と、想像して笑ってしまった。だって、あまりにもミスマッチだったんだもん。

お風呂から上がると、部屋の方から話し声が聞こえた。ここの鍵はさっきレッド君に預けたから、彼以外は有り得ない。預けた理由は、単純にお風呂上がったらレストランでご飯を食べようという約束をしたから。
・・・靴がないというのは、本当に不便極まりない。せめて携帯が使えればよかったんだけど。

で、レッド君が独り言をぼそぼそ言うわけがないし、誰かいるのだろうか。
私は疑問に思いながらも着替えを済まし、脱衣所を出た。


「・・・うん、じゃあ」


どうやら、電話中だったらしい。というか、電話持ってたんだ。失礼ながら、持ってるイメージ全くなかったや。


「・・・あ、出たの」

「はい、お待たせしました。レッド君は電話してたみたいですね」

「・・・ん、明日知り合いがミチルの日用品持ってくるから」

「それはすいませ・・・!」

「?」

「いや、何でもないですごめんなさい」


レッド君に、初めて名前を呼ばれました。しかも呼び捨て。
いくら年下でも、憧れてた人(かなり美形)からいきなり呼び捨てで呼ばれたら、ドキドキしてしまう。
そんな自分に、まだまだ若いなぁと苦笑が零れた。






乙女心健在
(青春時代)(青い春とか、昔の人ってロマンチスト)




2011.06.14



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