「ピカチュウ、広範囲に十万ボルト」


リングマに切り裂かれそうになった瞬間、知らない人の声が聞こえた。


「・・・へ?」


突然、目の前のリングマが動かなくなったと思ったら、白目を剥いていらっしゃる。あの、それはそれで顔怖いです。


「!?ひゃああああ!!」

「ピカッ!!」 「ピッカァ!!」


しかも突然こちらに倒れてきたものだから、とんでもなく情けない悲鳴が出る。

そしたら何かにぐいっと引っ張られたので、リングマと地面のサンドイッチは免れた。


「あ、ありが・・・え?」


引っ張ってくれたのは、二匹のピカチュウ。多分、左がレディで、右は初対面の子だ。


「え・・・ど、どちらさまでしょうか・・・?」

「ピッカ!」


知らないピカチュウが指した先には、知らない少年が立っておりました。






「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


何かよくわかんないけど、リングマサンドの恐怖に腰が抜けた私は、現在レディを抱きしめながら、少年に姫抱っこされてます。
生まれて三回目くらいの姫抱っこ。羞恥心より先ほどの恐怖が勝ったせいか、少年に声をかけるタイミングも失いました。

気 ま ず い 。

下から覗き込むようにして見た少年は、やたら綺麗な顔をしている。黒髪に赤い瞳、陶器みたいな白い肌。
頭の上に帽子、帽子の上に私のキティ。重くないのだろうか。

ちなみに、彼の子らしいピカチュウは、インに乗って私たちの前を飛んでいる。フラッシュしながら。


「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・トレーナー?」

「ひっ!!」


いきなり話し掛けてくるから、心臓飛び出るかと思った。某有名ホラー映画で"か○こ"に布団の中へ引っ張りこまれた瞬間くらいビビった。


「?」

「ごごごごめんなさい!」

「・・・・・・」

「えっと、多分、違います」


だってトレーナーカード持ってないし。寧ろこの世界の人間じゃないし。


「・・・どうやって来たの」

「・・・私にもさっぱり・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・というか、ここ何処ですか?」

「・・・シロガネ山」


・・・・・・・・・。

・・・What's?


「・・・シロガネ山って・・・あの、ジムバッジ八つ揃えなきゃ入れないあのシロガネ山・・・?」

「うん」

「えー・・・」


ギャラドスリングマイワーク納得。
だけど、自分の家のベッドからそんな危険区域でおはようなんて納得できない。

・・・ん?シロガネ山?
シロガネ山でピカチュウな少年といえば、一人しかいなくないか。
しかもよく考えたら、帽子に半袖ってもう確定な気がする。


「・・・あの、少年」

「?」

「君のお名前聞いてもいいですか?」

「・・・?・・・・・・レッド」


この世界に来て、初めて出逢った人間は、初代主人公の原点にして頂点な伝説でした、まる






無気力ヒーロー
(こんな出逢い)




2011.06.14



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -