「彼女の為の荷物を俺に買わせて運ばせるとかどういうことだよ!っつーか彼女できたんなら教えろよ!俺お前の一番の友達じゃねーの!?俺だって彼女できたり別れたらレッドに一番最初に報告してたじゃねーか!しかも何!?こんな所に連れ込んで一緒に暮らすくらいなら下山しろよ!可哀相だろ!」

「ミチル、こっちツナ」

「こっちは苺ですね。一口あげるので一口ください」

「ん、」


「人の話を聞けェ!!」


レッド君、君の一番の友達らしいイケメン美少年君(略してイケ様)が涙目になってますよ。






走り去ったイケ様を、その叫び声で飛び起きたピカチュウが追い掛け、連れ戻ってくれるまでの間にレッド君から言われたのが、「何言われても無視して」だったので実行するも、あまりのヘタレっぽさに可哀相になってしまった。


「・・・レッド君」

「ん?」(もぐもぐ)

「多大なる誤解をされている上に、イケ様泣いてますけど」

「うん、(イケ様って何?)」(もぐもぐ)

「可哀相なので話し掛けてもいいですか?」

「やだ」(もぐもぐ)


「駄目」とかじゃなくて、「やだ」ときたか。可愛いなおい。
しかも携帯食(ツナサンド)食べてる姿が小動物っぽくて余計に可愛い。天然の乙女心キラーだ。


「レッドの彼女優しいな・・・ぐす、」

「彼女じゃないです。そんなこともないです。イケ様可愛いですね」

「・・・」(もぐもぐ)

「え、彼女じゃ・・・ぐすん、ねーの?(イケ様?)」

「昨日会ったばっかりで恋愛出来る程器用じゃないんで。毛布足りなかっただけですよ」

「・・・」(もぐもぐ)

「そっか・・・俺のはやとちりか・・・にしてもレッド冷てぇな・・・俺にもぐもぐしか言ってくれねー・・・」

「レッド君はツンデレなんですよ」

「・・・つんでれ?」

「ツンツンしてるのに、ふとした瞬間デレることですね」

「・・・・・・」

「・・・レッド、お前ツンデレだったのか」

「グリーン死ね」

「酷い!!!!」


あ、このイケ様はやっぱりグリーンだったのか。
明るい茶髪に、ブラウンの瞳は少し赤くなっている。防寒対策しながらも、服装はかなりお洒落さんだ。
レッド君が人形みたいな美人だとすると、グリーンはmen's e○gとMEN'S NO○-NOを足して二で割ったようなイケメン美形。
しかし、


「グリーン君といえば・・・ボンジュールでバイビーな自信満々のトキワシティジムリーダーでは・・・」

「うわあああ!!レッドおま、おまえなにおれの黒歴史しゃべっちゃってんの!?」

「・・・(あぁ、ゲームか)」


黒歴史だったんだ。まぁ、恥ずかしいよねあれは。
それにしてもヘタレ過ぎるよトキワのジムリ。レッド君もだけど、グリーン君もイメージ崩壊した。


「ところで、グリーン君」

「え、ん?」

「昨日レッド君に保護された新米トレーナーのミチルです。よろしくお願いします」

「あ、どうも。レッドの幼なじみでライバルなトキワシティジムリーダーのグリーンです」

「なんかお見合いみたいですねー」(AHAHA)

「!」

「そうで・・・!す、か?(レッド超睨んでる!)」


イケメン美少年のグリーン君は、レッド君に敵わないらしいと脳内でメモ。でも普通にノリが良くて、気さくで話しやすい。ヘタレだけどいい人だ。ヘタレだけど。


「そういえば、グリーン君が日用品買ってきてくれたんですよね・・・ありがとうございます」

「あ、レッドに言われたもんばっか買ってきて・・・これでいーか?誰使うか聞いてなかったし、全部レッドの好みになったんだけど」


・・・好み把握出来るほどパシられてるってことなのだろうか。レッド君がジャイアンに見えてきた。

グリーン君に渡された荷物を見ていくと、確かに日用品が色々入っている。レッド君の趣味らしいシャンプーはとってもいい香りだ。
しかし、私にとって物凄く重要な物が入っていない。


「レッド君・・・」

「?」

「靴・・・」

「あ、」


絶対忘れてたろお前。


「・・・私グリーン君と下山して靴買ってきますので、お小遣いください」

「だめ」

「まだあの移動法続けるんですか・・・!?」

「僕はいいよ。ミチルも楽でしょ」

「楽だけど楽じゃないんですよ・・・!!」


主に心が!

何も知らずにキョトンとしているグリーン君。
「昨日からずっと抱っこで移動してるんです」と耳打ちしたら、真っ赤になって俯いてしまった。何このピュアボーイ。


「れれレッドおまえ・・・!」

「?」

「ミチルだって年頃の女の子なんだから気ぃつかってやれよ・・・!!」

「??つかってるよ?」


グリーン君の思春期エイジなピュアさに感動。多分レッド君は鈍感過ぎるフェミニストなんだと思う。
それなりに色々経験した乙女だからまだ軽く受け流せるけど、私じゃなくてピュアハートな乙女だったら、既にレッド君に落ちてるだろう。

ただ、見てるだけなら笑えても、自分が常に姫抱っこの当事者(被害者?)だと笑えない。むしろ周りの目が痛い。ジョーイさんは微笑ましそうに見てたが、僅かにいたポケセン利用者の山男さんとかポカーン(゚Д゚)してたの気付いてなかったんだろうな。


「とにかく、靴は絶対買いに行きますから」

「・・・じゃあ、僕も行く」

「そうでs「え゙!?」

「・・・」 「・・・」

「・・・・・・レッド君、いつぶりの下山なんですか?」

「・・・二年ちょい?」


それはグリーン君叫びますよ。






まさかの珍現象
(行方不明の伝説が下山しますよ)(私の靴を買うために)(・・・)




2011.06.14



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