現在、我が組織の中で最も偉い人の執務室の扉を開けたら、その偉い人が高そうな・・・いや、確実に高いだろうカーペットに膝をついていた。
「・・・?」
「・・・・・・ふぅ」
「・・・あの、アポロさま?」
「?あぁ、ナナシですか」
今私に気付いたらしいのは、ロケット団最高幹部であり、爽やかな笑顔でドス黒いことをさらりとしてしまえる、アポロさまだ。
ランスさま程じゃないにしろ、潔癖症なイメージのあるアポロさまが床に膝を着いているなんて妙なシーンに立ち会ってしまった私は、かなり動揺している。アポロさまのファンクラブの子が見たら、衝撃過ぎてショック死してしまうだろう。
「はい、ランスさまに頼まれた書類を・・・・・・あの、アポロさま?先程から何を探してらっしゃるんですか?なんなら一緒に探しますよ」
何かごそごそ手を動かしているので、そう提案してみる。が、アポロさまの探し物を聞いた瞬間、私は色んな意味で固まった。
「いえ、ちょっと幸せを」
「・・・・・・・・・」
「私の探し方が悪いんでしょうか・・・?どこにも見当たらないのですよ、私の幸せが」
「・・・・・・・・・」
疲れてらっしゃるのですね、アポロさま。
何だか思わず目からしょっぱい汗が零れそうになった私は、とりあえず今頃小休憩してるだろう仕事に妥協を許さない常盤色の直属上司に、「少しはご自分の上司を労ってあげてくださいませ」と提案してみようと思う。
思い返せば、書類を届けに来たのも本日五回目だ。まだ正午なのに。
まぁ、どうせランスさまには、
「そんな所に落ちてる幸せくらいで、私たちロケット団が満足できる訳がないでしょう」
と、鼻で笑いながら一蹴りされるのだろうけれど。
しかも「ハッ!」っていうランスさまだからこそ似合う、嫌味な笑い方のオプションつきで。
頑張れ最高幹部!
(ランスの 猛仕事攻撃!)
(アポロは 混乱した!)
2011.06.21
・・・私が疲れてるのかもしれない。
根が真面目な人って疲れると変な行動しだすよね。アポロさんしそうだよね。と思っただけなんです。