ひゃっ……」
従兄の兄ちゃんにしばらく預かって欲しいと言われ、私の部屋に照美君が来たのはちょっと前の事。
あまりの可愛さに見とれていたら、デコピンを食らってしまった。だってさ、だってさ、女の子よりかわいいよこの子!!
「うぅ…」
痛い、痛い額をさすっていたら、輝美君が「人の事ジロジロ見るから」とデコピンの原因を教えてくれた。
「いやぁ…あんまりにも可愛いから」
だから、ジロジロ見た原因を述べたら、猫耳が機嫌悪そうにピコピコ動く。そしてもう一回デコピンを食らった。くそう、地味に痛い!!
お返しに尻尾を引っ張ってみたら、本気で怒られ(殴られ)た。
「照美ちゃんの意地悪。そだそだ、ねぇギュって抱きついちゃダメ?」
手を広げて、おいでをしてみたんだけどめちゃくちゃ怖い目で睨まれた。
丁重にお断りします
「ふざけたこと言うな。」
抱き締めたいと願い出たら
ペシリ。と尻尾で叩かれた。
おぉ、てるみん私に抱き締められるのがそんなに嫌か!!お姉さん悲しいぞ!!
あんまりにもショックだったから、布団にゴロンと転がりふて寝して、シクシクしていたら、照美が近くに来た気配を感じた。あっ、一応心配してくれるんだ。
「まったく…なまえは僕が珍種だからって忘れてない?」
何をでしょうか?困ったことに何にも思い浮かびません。私忘れっぽいからなんでも忘れるよ。
まぁ頑張って思い出してみよう…珍種でしょ?珍種は、希少だから保護対象になってて、とっても地位が高い…あっ、やべ。一般市民の私なんか顎で使えるくらい照美様偉いんだった。
私、照美様怒らせた?やっぱ尻尾はまずかったかな?
照美様が警察に一報入れたら私捕まっちゃうよ…。
「なんかすべてに関してすいませんでした。」
ベッドの上で土下座する私ってはたから見たらどうなんだろう…。
「なんかなまえは勘違いしてるみたいだね別に謝って欲しいわけじゃないよ。僕は男だってこと分かって欲しい…抱き締められるのは真っ平だけど、抱き締めるなら喜んで。」
言い終わるのが早いか、行動が早いかわからないけど、気づいたときには照美に両手首を捕まれベッドに押し倒されていた。
(ねぇ、てるみん。これは抱き締めるじゃなくて、押し倒すだよ。)
尻尾を嬉しそうにゆらゆら揺らす彼に私は何も言えなかった。