「もう少しだけ‥‥、
伊作くんは、ふかふかです。」
そう言って僕の髪に顔を埋めるなまえちゃんは、高校三年生の受験生。
受験のストレスからなのか年が明けてからよく僕の背中に周りこんで、髪をモフモフする。
「気持ちい?」
「うーんとね、落ち着くの。」
眠たそうな声からして、きっと後10分内に何時ものように寝てしまうだろう。
そんなことを考えながら好きにさせてあげていると、顔を僕の横に移動させて声を潜めて、
「伊作ちゃん、大好きよ」
と言い逃げして、スース寝息をたてて寝てしまった。
「ちょっと待て!!」
「伊作、」
「はい‥‥」
「娘はやらんぞ、」
「はい。」
なまえちゃん、ちょっと待って。なんで、パパさん居るリビングでそんな問題発言しちゃうの?
なんて寝ちゃうの?
ハサミを持ったパパさんに髪の毛刈られそうだよ‥‥。
(あの、あの‥‥)
(まぁ、伊作落ち着け。冗談だ。)
(冗談なら、ハサミ下ろしてほしいな。)