「八、アイス食べる?」
「いいのか?」
私の家には、八と言う名前の珍種が住んでいる。
犬よりも逞しい狼の珍種である彼は、力加減がよく解らないようで物を壊したりするけど、優しいし気はきくし、とっても素敵な人だ。
大学の教授によろしく頼むと彼を紹介されたときはひっくり返るほど驚いたし、男であることに抵抗はあったけど、まぁもう慣れた。
夏の暑さに弱いのに我慢して文句一つ言わない彼にご褒美としてアイスをあげると、ちぎれんばかりに尾を振って答えてくれた。
アイス食べる?
「なぁ、なまえ」
「なに?」
「俺、なまえの所にこれてよかった。」
「いきなり変なの…」
溶けかけたアイスの一口を口に放り込みながら答えた。