(現パロ)
寒いな…。
教室の隅の机で一人白い息を吐きながら、廊下を歩いていくカップルを見る。
楽しそうに笑いながら、帰りにどこ行こうかと相談している。
その光景に飽き、
暇すぎて机に突っ伏せば、寒さが腕から体全体に伝わっていく。
「暇だな…」
つくづく、私は一人が苦手なんだと実感しても廊下から聞こえてくるのは、どうでもいい他人のものだった。
「……」
寒さで指が痛み出した頃、いきなり背中重みを感じ、続いてあたたかさが伝わってきた。
なんだ?(勘ちゃんか兵助なら許すが竹谷は許さん)と思っていたら、頭の上から、「三郎、帰らないの?」と一番聞きたかった雷蔵の声が降りてきた。
「雷蔵…」
ずっと、ずっと待ち望んでいた声の主に心が弾む。
触って確かめたくて、腕だけ伸ばして雷蔵に触れると、「冷たいよ、三郎」と少し怒った声で私の名前を呼ぶ。そして、何も言わずに私の手をカイロで包みこんでくれた。
私は、それが嬉しくて、甘えるように「寂しかった。」と呟いた。
君が遅いから、
私は、冷えきってしまったよ。
(酷いな、僕のせいにしないでよ、ただ面倒だったんだろ?)
(寂しさ7割めんどさ3割)