「霧野は…そうだな、ピンク狼!!」
ハロウィン特集雑誌を見ていたと思ったら"ピンク狼"なんて変な単語をマネ兼彼女の○○は言い出した。
しかも唐突すぎるから神堂が飲みかけのスポドリを吹き出したりと、なんだか二次災害が起こってるぞ。
「あのね、今度サッカー部でハロウィンパーティーしようって話があってね、蘭丸なにが良いかなって考えてたの」
あぁ、そう言えばマネ達が騒いでたな…俺は関係ないと思ってたのに、まさか巻き込まれるとはな…しかも、
「ピンク狼…」
「うん。」
ピンク狼なんてわけのわからないものを持ち出すし、まったく頭が痛い。
そればかりか、
だってね、蘭丸可愛い顔して狼さんみたいにかっこいいんだもん。
って続けるもんだから、倉間あたりが変に絡んでくる…あぁ、もう面倒だな。
「じゃあお前は?」
「私はね、カボチャ」
「はっ?」
「カボチャよ」
「いや、仮装でカボチャってないだろ?」
「あるよ。だって南沢さん言ってたもん」
「南沢さん、変なこと吹き込まないでください!」
もっと可愛い仮装が沢山あるはずなのに、何でそれをチョイスしたんだ?しかも、南沢さんなんでそれを押した?コイツそんなポッチャリしてないですよね?なんでカボチャなんですか!?
草食系狼にでもなれってことか?
「カボチャ風のバルーンスカート着て、カボチャお化けの帽子被るの。可愛いでしょ?」
「あぁ…」
まったく想像できない仮装したコイツの姿に、諦めて俺は頷いた。
カボチャお化けの可愛子ちゃん。
「泣き虫魔法使い。」
霧野と霧野の彼女がじゃれ合っているのを見ていると、隣に座っていた俺の彼女は、俺を見ずに「泣き虫魔法使い」と呟いた。
あまりに唐突すぎて固まる俺の顔を見ながらもう一度、「拓人は泣き虫魔法使いで決まりね。」と笑いながら告げてた。
「それは仮装なのか?」
「仮装よ。魔法使いの格好して泣けばいいのよ」
それを聞いて倉間は吹き出すし、天馬はおろおろするし、三国さんは苦笑するし…俺ほんとに泣けてきた。
「楽しみだねハロウィン。」
「なぁ、本当になかなくちゃいけないのか?」
「本気にしないでよ…冗談なんだから」
「お前の冗談は、冗談に聞こえない…」
ケラケラ笑うこいつは、いったいどんな格好をするんだろうか…そんなふうに思えばハロウィンも悪くないかもしれない。