「蘭丸はさ、今どんな思いでボールを蹴ってるの?」
トン。と軽くボールを蹴って転がし遊ぶ私の質問に、蘭丸は困ったように笑いながら、分からない。と答えた。
「昔みたいに、ボールを一心不乱に追いかける蘭丸が見たい。」
「○○…」
「私は、蘭丸が好き。サッカー大好きな蘭丸はもっと、もっと大好き。」
転がるサッカーボールを捕まえ抱き上げ、
彼に近づいてみると、どうしたんだ?と心配そうに駆け寄ってくる。
あぁ、私今泣きそうな顔してるんだ。
「蘭丸、大好きよ。」
サッカーが好きなのに自由にできなくて、もどかしい彼を見るのが辛い。
苦しそうにプレーする彼に何もできないことが歯がゆい。
悲しくなって、
私は彼の胸に顔を埋めた。
そうしたら、蘭丸が優しく髪を撫でて優しく笑った。
「心配するな。」
「うん。」
「また、できるようになる。」
「そうだね…」
愛しい彼の腕の中、蘭丸が一心不乱にボールを追いかけ、サッカーをできる日を夢見る。
夢見る。
…後書き……
企画没