「おーい、食べながら寝るとはいい度胸じゃねぇか。」
口悪く起こすのは誰だ?
眠い目を開け、起こした人物を見ると、コックの○○だった。
こいつ顔は可愛いのに口が悪ぃんだよな。勿体ねぇ。
「こちとらてめぇらが暇してん時から食事作ってんだよ。それを寝ながら食べるとはどういったわけがあるんだ?」
眉間に寄るシワがいっそう濃くなった頃俺の頭はようやく機能し始めた。
「なんか、寝ちまうんだよな」
あくび混じりに返答したら今度は諦めたような悲しそうな顔をする。
せっかく作ってもらったんだから俺も寝るつもりはねぇんだけどな。何でか寝ちまうんだよ。
「もう食うなバカ」
そんな俺に愛想をつかしたのか、クルッと半回転して厨房に戻ろうとする○○の腕を強くつかんでみると、
ビクッとなって真っ赤にした顔で何すんだと怒りだした。
5.きみが愛しいと気づいたから
「行くなよ。そうしたらちゃんと起きて食べるからよ」
きみが愛しいと気づいたから、
俺の傍に居て欲しい。
そうしたら何でもできる気がした。
(C)確かに恋だった
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