茜色から群青へ
群青から宝石を散らばせた漆黒へと空の色は変わっていくのを見ながら縁側で私は、麦茶を飲み込んだ。
「空は面白いです。」
「○○は空見るの好きだよね。」
隣に座る喜八郎は、麦茶を飲みながら団扇をパタパタと扇いでいる。
初夏といえどももう夜は蒸し暑いので、こうしてのんびり喜八郎とお茶をしてるだけて汗が流れてしまう。ふぅ、お風呂入ったばかりなんだけどな…後で濡れた手拭いで拭こう。
「○○暑い?」
パタパタと私に団扇を扇いでくれる喜八郎がなんだか可愛くて笑みがこぼれると、ふわっと彼が笑い返してくれた。のんびりして幸せ。
「このまま寝てしまいたいです。」
「ん…滝がそのうち見つけて起こすと思うから寝る?」
「そうですね、寝ちゃいましょうか。」
お盆を少し離れた位置に追いやって、二人で手を繋ぎながら夜空が見えるように仰向けに寝転んだ。
「夜空を見ながら二人で寝るなんて素敵です」
「僕は○○といれるから幸せ」
「嬉しいです。」
二人で虫の音を聴きながら眠りについた。
夜空の下で
夜空に散らばる光を眺めながら、大好きな人と同じ時間を過ごせるなんて…私は幸福者ですね。
夜の風が、優しく私たちを包み込んでくれた。
…おまけ……
朝起きてみると、枕が頭の下にあって、お腹に薄いものがかけてあって、あぁ平君がやってくれたんだな何となく思った。
少し汗ばんだ喜八郎の寝顔を見て、軽く拭き取ってあげるとちょっと嬉しそうに笑った。まだ寝てるんだよね?狸寝入りかな?うーんと考えていたら、平君がやって来た。
「おはようございます。」
「まったく、何を考えているんですか?」
「えっと…何も考えていませんでした。」
まったく、風邪ひいたらどうするんですか!と怒る平君に笑っていると、喜八郎がむっくりと起き出して、私の腰に腕をまわして抱きついてきた。
「滝は、心配性です。」
「お前が適当すぎなんだろう。」
「平君は、喜八郎のお母さんみたいですね。」
「えー、滝がお母さんとかいやでーす。」
「こっちから願い下げだ。」
また、いつもと同じ騒がしい朝が始まりました。