「阿伏兎、やっぱり何かすべきかな?」
「そりゃ、やった方がいいんじゃねーか?」
「うわっ、めんどくさいな…」
宇宙海賊春雨第七師団隊長である神威の誕生日をどうするか、大人二人が本気だして考えています。
誕生日を祝われるなんていうガラじゃないし、祝ってどうするかって言うのもある。
ただ、この頃よくカレンダーを眺めてることからすると、なんらかの反応を待ってる可能性もある。
「ケーキと料理なら用意できるけど」
「酒なら用意できるな」
「「とにかく、後々面倒だからご機嫌取りをするか」」
勘違いから生まれる善意もある。
「あれ、今日なんかの日だっけ?こんなに豪勢な料理が出るなんて珍しいね」
「えっ?神威の誕生日でしょ!!」
「そうなの阿伏兎?」
「おう……」
顔を見合わせる私と阿伏兎に疑問符を浮かべる神威。あぁ、激しく殴りたい。
冷蔵庫とか投げつけたい気分…
「この頃ずっとカレンダー見てたじゃない!」
「ん?
あぁ、明後日地球に行くだろ?それが楽しみでね」
「そう言えばそんな予定だったな…」
なにそれ?朝からずっと台所に立っていた私の努力は、なんだったのよ!!
「まぁ、二人ともありがとね」
「まぁ、うん」
「おう…」
怒りが冷めた訳じゃないけど、邪気の無い笑顔の神威を怒鳴るわけにもいかず、ため息がこぼれる。
「お誕生日おめでとう」
「ありがとう」
超特大ホールケーキに刺さったろうそくの火が消えてから始まったパーティーは、深夜遅くまで続いた。
(神威重い離してよ!!)
(誕生日特別)
(なにそれセクハラ神威!!)
(幸せ)
(阿伏兎ぉぉぉぉっ)
(まぁ、誕生日だからな)
(そう言うこと)
(お前が言うな!!)