「あっ綱海先輩だ。」
ソーダ味の棒アイスをくわえながら、学校の帰り道を自転車押しながら進んでいると海の上を楽しそうに走る彼を見つけた。
今日はラッキーデーだな。
少し話したことくらいしかない彼に片思いする私は14歳で、彼よりも年下です。
来年は綱海先輩と学校で会えないのかと思うとあぁ憂鬱。
「あっ!」
綱海先輩のことを考えてボーとしていら、大好きなアイスを落としてしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ、今月最後のアイスが…」
前言撤回。今日はアンラッキーデーだ。悲し。
「あり?○○じゃねぇか。」
「あっあう、はい」
恥ずかしい所バッチしみられた。
なんでさっきまで海にいたくせにこういうときだけいるんですかね?
女の子事情とかちょっと考慮して欲しかったな。好きな人にこんな姿見られたくないし。
「今月最後なのか?」
「あっはい。小遣い的にですが。」
「おし、」
ん?話の流れ的におしって言うところ無かったはずだけどな。わたしこの後なんて返すのが正解なんだろうか?困った私の少ないボキャブラリーが悲鳴を上げてる。
うんそうだね。分かんないよね。
「先輩?」
「ちょっと待ってろ着替えてくるから。」
「はい?」
「奢ってやるよ。」
「へい?」
「アイス、奢ってやるよ。」
ほへ?先輩が私にアイス奢ってくれるの?
なんで?私そんなに可哀想な顔したのかな?
そうならかなり恥ずかしいぞ。
にしても、言葉のキャッチボールが成立してない気がするぞ。
「あの、なんで奢ってくれるんですか?」
「ん?何でって、アイス食ってるお前すげぇ幸せそうな顔してるからよ。俺それ見るの好きなんだよ。」
好き?
好き?落ち着け私、先輩が好きなのはアイス食べてるときの私なんだから。って、なんでアイス食べてるときの私の顔知ってるの?おかしいでしょ。おかしいでしょ!!
「先輩?あの、なぜに私のそんな顔知ってるんですか?」
「好きな奴が近くにいたらつい見ちまうもんだろ?」
「ふぇっ!?」
ちょ、ちょっと何かすごいこと言われたぞ。うんでもアレだね。綱海先輩ノリで言ったんだ。そう言う人だし。勘違いするな私。勘違いしたら先輩に迷惑だ。落ち着け、落ち着くんだ私。なのに、この人は、勘違いさせる、すごいこと言いながら私を抱きしめたりして…
「○○、俺は、お前が好きだ。」
なんだと!!先輩がなんの取り柄も、むしろ女子力微妙な私なんかを?
これは夢か。そう思ってギュッと頬をつねればかなり痛い。
つまりは、現実?
ポカーンと口をあける私に「返事は?」とニカって笑って聞くから、
脳内パニックは最高潮…爆発寸前なもので、素直に言葉がつらつらと漏れだしてしまった。
「好きですよ、好きで好きで好きで好きで好きで、大好きです!!ばか野郎!!」
そう叫んだ茹で蛸みたいな顔の私に綱海先輩は笑って抱きしめてくれた。
海とアイスと…
その後は、先輩が海から上がるまで
バニラアイスを食べながら、ほてった顔を海の潮風で様し続けるのだった。
…後書き……
不完全燃焼