いつからだっけ?○○が他の女の香りを連れて帰っても気にしないようになったのは…。


はじめの頃は泣きながらとても怒ってくれたのにな…必死に怒る姿を見て、僕は愛されているんだなって実感できて嬉しかった。
だけど、ついつい嬉しくて何回も重ねた行為にとうとう○○は諦めてしまったのか、何も言わなくなった。

毎日欠かさず僕の分まで作られる夕飯は、3割ほとそのままゴミ箱行きになる。捨てるとき悲しそうな顔するだけで何も言わないし、
いろいろ面倒になって携帯のアドレスを変えても○○に知らせなくて困らせた時だって、何回か怒ってその後は気にしなくなった。


出ていかないから、僕への愛はあるみたいだけど…やっぱり浮気を激怒するくらいのほうが僕は嬉しい。

また、怒ってくれないかな?そんな気持ちで今日もまた適当な子と遊んで帰ってきた。



「ただいま…」


あれ?おかしいな…いつもなら僕の声を聞いて一応お帰りと言ってくれるはずなのに、今日は返答がない。何かあったのかな?慌てリビングに駆け込んだら、ソファーで寝ながらくつろぐ○○を見つけた。ふぅ、何もなくてよかった…けど、いるなら返事して欲しかったな。



「なんて打とうかな…」



近づいても気づかないみたいだから何をしてるのかと覗きこめば、携帯画面とにらめっこしてた。誰かにメールを打つとこだったんだろう?アドレス変えてから教えてないから僕ではないな。


「誰に打つの?」


だから、当たり障りなく聞いたら、


「あっ、お帰り士郎。どうせ食べてきたでしょ?一応夕飯冷蔵庫にあるから、お腹減ったら食べて良いよ。」


と軽く流された。

なんだか、無視されたみたいで嫌だな…
そうだ、○○の横に座って、どう反応するか見てみよう。


「なに?」
「ねぇ、誰に打つの?」


そして、もう一度、さっきと同じことを繰り返し言ったつもりなんだけどな…ななんだか思いの外声が低くなって僕自信驚いた。


「ん?…ヒロト君か不動君」


誰だろうか。音無さん?秋さん?女性たちの名前をつらつら並べてる僕に○○は男名前を呼んだ。あぁ、ムカムカするな。浮気みたいでイライラするな。


「なんで?」
「一人の夕食に飽きたから誘おうと思って。」
「なんで僕を誘わないの?」


一人の食事に飽きたなら、僕を誘えばいいじゃないか。なんで僕じゃい?しかも男なんだよ?


「だっていつもいないし。士郎も可愛いこといる方が楽しいでしょ?」


イライラする僕を可愛くない返答でさらにイライラした。


「うん。」
「ほらね。」



だから思わず返した一言に、○○が泣きそうになって凄く驚いたし、後悔した。


「可愛い子と食事するのは楽しいけど、○○が他の男と仲良くするは気分悪いな。」


自分でも何いってるんだろうと思うけど、思ったことを言えば、○○はあきれた顔をした。



「うわ、何それ。」
「怒った?」
「正直ムカツクしウザイ。」
「うん」
「でもなんか、メールする気は無くなっちゃったよ。」
「それはよかった。」



なんとか考えを変えてくれたみたいだね…ほっと胸を撫で下ろせる。


「メールする気なくなったから実家に帰ること電話しようかな…」
「えっ?」

ほっと胸を撫で下ろして、気が抜けたところに○○は実家に帰る宣言をした。それ一番嫌な選択!!


「では士郎君。しばらくさよならしよう。」
「まって、○○がいないなんて嫌だよ、僕」

そんなの耐えられないよ。だって、僕は○○がいなくちゃ、僕を見てなくちゃ生きていけないんだから。


「反省したら帰ってきてあげるし、掃除洗濯はやって上げるから安心して。」
「いやだ。」

そういうことじゃない。君がいない家に帰ってきてもなんの意味もないよ。


「もう、じゃあ君は何をしたいんだい?」


何をしたい?それは、単純明快で○○に嫉妬してほしいだけ。


「○○に嫉妬して欲しい。」
「嫉妬?はじめのころマジ切れしても止めなかったじゃん。」

それは、嫉妬してくれるのが嬉しくてついついやってしまったんだ。


「嬉しかったからつい…」
「意味分かんないし、馬鹿」
「もうしないから、僕から離れないでよ」
「あぁもう、そんなこと言われたら出ていけなくなっちゃうじゃない!!私ばっかり士郎のこと好きみたいでムカツク。」


顔を真っ赤にして叫ぶみたいに言う彼女に満足。可愛いな…でも、○○ばっかが僕を好きって言うのは違うよ。僕の方が○○を愛してるんだから。


「僕だって負けないくらい好きだよ。僕が愛してるのは○○だけ。」





メランコリーな待ち時間。





それから、浮気はやめた。必要なくなったのもあるけど、○○が他の男に会おうとするのも僕の傍から離れたりするのが嫌だから。



「幸せ」


その分今は○○との時間を幸せを噛み締めながら過ごしている。



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