寒いな。夜空の下を一人でとぼとぼと歩きながら思った。
いつもなら銀髪の彼が横にいるんだけど、今日はいない。
一人になってようやく喧嘩したという現実が辛くなってきた。
付き合ってからこんな大きな喧嘩初めてだな。
いつも仲良くしていたから、少し離れるだけでかなり辛い。
でもきっと彼は、何とも感じていないだろうな。私と違って友達いっぱいいるし。
あぁ、悲しさ倍増。いっそのこと謝りに帰ろうか、寒いし。
ヒロト君に仲裁に入ってもらえばなんとかなりそうだし。
このまま寒空の下歩いて風邪ひくのも馬鹿馬鹿しいしな。
そうと決まれば帰ろう。
くるっと半回転して来た道を同じ速度でとぼとぼ歩く。
「夜空は毎日綺麗だな…」
日々ころころ変わる私の気分とは大違いだ。
はぁ、空みたいに大きな心があれば、あんなささいな事で喧嘩になんかなんなかっただろうな。
お気に入りのお揃いのマグカップ割られたくらいで何あつくなってたんだろう私。
「やだ、涙でてきた…」
べつに、泣くこと無いじゃない。そりゃ、初めてのプレゼントですごく嬉しかったけどさ、泣くことの事じゃないし。
泣いたりしたら、仲裁してもらおうと思ってるヒロト君を驚かせちゃうじゃない。いつも可愛がってくれる玲名ちゃんに会ったら、彼きっと殴られちゃうし…一回部屋戻って顔洗って…洗ったら化粧しなきゃ。そうしたらヒロト君にお願いしに行こう。
スカトの輝き
「○○!!」
「風介…」
後5メートルでたどり着くと言うとき、彼が帰ってきた私を見つけてギュッと抱きしめてくれた。
「あたたかい」
「はぁ、私をあまり心配させないでくれ…」
「あっ、うん…ごめんね。さっきのことも」
心配してくれたんだ。そのことが嬉しくて素直に謝れた。
よかった。ちゃんと謝れた
いつの間にか止まった涙の代わりに笑みがこぼれる。
「○○…ごめん。」
「なんで謝るの?」
「気に入ってくれていたんだな…なのに、私は…」
「いいの。迎えに来てくれたから」
「…次の休み買い物にいこう」
「うん」
「そうしたら、私とお揃いのマグカップを買おう。○○が気に入るのを探そう」
「風介…」
あったかい。
心がね、あったかいんだ、今。
「あのね、嬉しくて涙が止まらないの」
「どうしたら止まるんだ?」
「そうだな…もっと強く抱き締めてくれたらとまるかも。」
答えの代わりに強く抱き締めてくれた風介にもう一度ありがとうと呟いた。
(○○が居なくなった後、彼奴血相変えて飛び出したんだ。…逆方向だったけどな。)
あとで、南雲君がこっそり教えてくれた。