卿は、ただいまご機嫌ナナメのよう。
足を組んでふかふかのソファーにうもりながら私は、イライラしている彼を見る。
綺麗な黒髪も、血のような赤の目も、端正な顔立ちもどこになくしてきてしまったのか…今は影も形もない。
なのにこれほど彼が愛しいと思うのは、心から愛しているからだろう。
「ねぇ、卿。引きこもってるからイライラするのよ。馬鹿みたい」
返事の代わりに私に向く杖を何となくまっすぐ見ながら思う…私狂ってるほどこの人の事好きなんだ。
機嫌を損ねるだけで人を殺す彼。
馬鹿何て言ったら殺してくれと言うようなものなのに、なぜ私は言ったのだろうか…。あぁ、彼が私から離れるのがわかって自棄になったからか。
緑色の光を拒むことなく受け入れながら私は眠りについた。
死ぬならやっぱり、貴方に殺してもらのが一番。
私って幸福者ね…貴方の心にきっと残るんだもの。
私、知ってるの。
私は、知ってるのよ。
この後貴方が泣き崩れるって事を。
私の事で貴方の中はいっぱいになる…それが一瞬でも私はそれで十分幸せ。
bkm