※さよなら。のつづき。
「流石戦国の世…一夜でひっくり返っちゃいましたか。」
あるお屋敷に嫁いで半年。やっと慣れてきたと言うのにこの家はいまや燃えてなくなった。
なんとも、あっという間だったな…武士屋敷は家臣の裏切りで主人を亡くし燃やされ灰と化した。
私が命からがらなんとか生き残ったのはくの一として約6年修行を真面目にしたからだろうか。だったら、頑張ってよかった。
「どうしましょうか。」
今や、何にも縛られることはない私。これからどうするか考える。
家に帰るのもあれだな…メチャクチャ遠いからめんどくさい。
忍術学園の方が近いな…とか思っちゃう。
まぁ、悪いようにはしないだろうから行ってみようか。否、ただ私は彼に会いたいんだ…自由になったから別に誰も文句言わないだろう。
君、恋焦がれて、今。
久々に見る風景に目頭が熱くなる…。あぁ帰ってきた。帰ってきたんだ…後少しで門が見える、そこを潜れば私の大好きなあの人がいる。
「○○?」
小走りになった私の視界に愛しいあの人が入った…なぜ門の前にいるの?
「兵ちゃん…なんで」
なんでいるの?と言う疑問は彼に抱き締められたことで言えなかった。
「○○の嫁ぎ先で争いがあったって聞いて…学園長先生に許可をもらって行くところだったんだ…」
あはは、兵ちゃん優しいな。あんな嫌な捨てぜりふ残したんだよ私…なのに、こんな優しくしてくれるなんて。
「なんとか生き残れたよ。」「うん」
「会いたかった」
「僕も」
私はずるい女だ。
兵ちゃんの所に戻りたくて、助けられた旦那を助けなかったんだから。
「私、助けなかったのあの人を」
「生きてたらきっとどさくさに紛れて僕が殺してたよ。」
笑って言う彼に、私はちょっとビックリしたけど、彼の言葉は嬉しかった。
「お帰り○○」
「ただいま…兵ちゃん」
会いたかった。
声が聞きたかった兵ちゃんの腕の中に私はいる。