「雷蔵っ私の愛を受け取ってくれ!!」
「邪魔だから退いて?」


風呂から戻ってみれば、最悪の光景が広がっていた。
僕の布団の上で褌し一丁の三郎が僕に向かって手を広げている…この上なく気持ちの悪い光景だ。

僕が邪魔だから退いてくれと言うにも関わらず彼は無視してなおも腕を広げ続けるから、頭に来て殴り飛ばしたことは悪くないと思うんだ。違うかな?

違わないね。


「雷蔵…自己完結だと私は思うぞ…その言い分。」
「なにか文句あるの?」
「いえ、なにも御座いません。」


にっこり笑う僕に、すぐさま土下座する三郎にちょっと満足。


「許してあげるから、早く服を着なよ。風邪ひくよ。」


三郎の変態は今に始まったことじゃない。朝起きたら僕の布団に潜り込んでニヤニヤしてたり、風呂をこっそり覗いてたり、僕の褌盗んだりエクセトラ…

だけど、嫌いになれないのは何でかな?
それはたぶん三郎だからだと思う。もしコレが他の人だったら僕はすぐさま八つ裂きにしてると思う。


そう、三郎が変態なのはいつもの事…仕方ないし、脱ぎ捨ててあった着物を三郎に渡してやろう…


「ほら、三郎………」







あぁ…僕のそんな優しさは、不要だったみたいだね。僕も頭にきたよ…



「ねぇ三郎。僕のだよねコレ…」


僕は今日、ついてるのかもしれないね三郎…無くしたと思った着物が出てきたよ。
笑う僕に、つい出来心でと返す三郎。堪忍袋ももう限界…僕は三郎に渾身の力を込めて回し蹴りを食らわせてやった。
もっと殴ったり蹴ったりしてやりたい気分だけど、三郎に触るのすら嫌な気分だ。

「三郎、僕はしばらく八の所で世話になるからね。あっ、言わなくても分かると思うけど、今度勝手に僕のものを触ったら…殺すよ。」


待ってくれ、許してくれと騒ぐ三郎を無視して僕は八の部屋に行くのだった。

手癖の悪い君へ回し蹴りを一つプレゼントするよ。






回し蹴り






(どうか許してください。)

夜中ずっと廊下で頭を下げる三郎を許してやれと言う八に、命欲しくば黙ってろと僕は言った。

あっ、言っとくけど三郎への愛はあるよ。ただ、変態は、いただけないだけ。


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bkm
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