「綾君っ」
先をスタスタと歩いていく綾君に小走りになりながら私は追いかける。
コンパスの差とは以外にも残酷なもので、私は自分の足の短さを密かに恨んだ。
「ふぎゃっ」
追いかけることに夢中になっていたもので、綾君が止まったことにまったく気がつかなかった私は、見事に背中にぶつかった。(髪の毛ふわふわだなぁ…)
「痛い。」
「ごめんよ…」
振り替えってむぅーと唇を尖らせる綾君にトキメキながら答えると、お詫びのキスをしろとせがまれた。
別段その行為に恥ずかしさを覚えない私はそのまま命じられるまま唇を重ねた。
「○○は柔順。」
「なにそれ…素直とか言葉あるじゃん。他にもさ」
無表情でとんでもないことを言うものだ、のふわふわ不思議ちゃん。
「いいの。○○は柔順」
「私犬じゃないし。」
「でも、僕の後ちゃんとついてくる。」
「待ってくれないからじゃん」
「そうなんだ。」
そうなんだって、この子は…。
頭をかいてこの不思議君になんと言ってやろうか模索していると、勝手に歩き出した。
(あぁ、もう!)
スタスタなんて速さで歩くんだろうか。私はまた駆け足で追うはめになった。
「綾君待ちなさいよ!!」
「待たない。」
「もう、なんなのよ!!」
追いかける君
だって、僕に追い付こうと一生懸命後ろを追いかける○○が可愛いから。
(待たなくていいから、手ぐらい繋いで!)
(いいよ。)
(なんでそこは素直かな…)
(僕も繋ぎたかったから)
自分勝手なこいつに甘い事から、私はどうやらこのバカにベタ惚れのようだ。
…後書き……
企画提出没作品・・)/
bkm