暇だ
暇だ暇だ。
暇だ暇だ暇だ。
いくら並べても退屈なことに代わりはない。
だからと言ってやめたら、ほんとに暇すぎる。
珍しく隣で眠るユウの無防備な寝顔を見てるのもいいけど、何もしないでいられる自信が残念ながら俺にはないさ。
「何でこんなに綺麗なんだろ…」
触ったら起きてしまうだろうか。
人の横で寝るほど疲れているユウを起こすのは可愛そうだ…けど、暇すぎる俺も可哀想。
「早く起きてくれないと、暇すぎて死にそうさ…」
うずくまるようにユウの隣に寝転がる俺の動きに合わせてベッドが"ギィ…ギィー"と悲鳴をあげる。
白シーツに散らばる艶やかな黒髪に頬を寄せ、指ですいたりしてみる。
起きないように優しく。
でも、起きてほしいと願いを込めて。
「矛盾…してる」
優しくしたい。でも、無茶苦茶にして俺だけの物にしてしまいたい。
暇すぎる俺の頭の中はユウの事でいっぱい。
こんな矛盾な考えで頭がゴダゴタに煮えてる。
「早く起きるさ…ユウ。」
じゃないと、
俺、どうにかなってしまいそう…
矛盾迷宮のその中で。
(お前だけがいる。)
・・・・・・
「バカウサギ。」
目を覚ます。
任務の後、疲れた体に鞭打って部屋に戻った俺をベッドの上でラビが迎えた。
勝手に人の部屋に入るんじゃねぇ。
そう言ってやろうかと頭の片隅で考えたが、どうやら口にするほどの元気も残ってなかったらしい。ベッドに倒れ込んだ俺はそのまま眠り込んだ。
そして、目覚めてみるど、ラビは俺の髪を軽く握りながらバカ面して寝てやがる。
叩き起こしてやろうか。蹴り落としてやろうか…
そう思うも行動できないのは、惚れた弱味か…取り敢えず…………柄じゃないが久々に会ったんだ…
「俺より早く…起きるんじゃねぇぞ…」
ラビに体を寄せてもう一度目を閉じた。
ずっと求めていた体温。
(この温かさをずっと求めていたんだ。)
・・・・・・
「やべぇ…何この美味しい状況…」
目を冷ましてみると、ユウのきれいな顔が真横にあって驚いた。
規則正しい寝息がなんだか色っぽい。
生唾を飲み込んだ俺は、このまま襲ってしまおうかとユウの肩に手をかける。
「んぅっ……」
そうすると、なんとも可愛らしい反応が返ってきたものだから、これはもう頂きますでしょ!!っと脳内でポジティブに変換しているのにうまく体は動かない。
「くぅ…」
そうか、そうなんさ…ヘタレ根性の染み付いたこの体は、本能で動けるほど勇気はない。ユウに嫌われたら…"嫌い"とか言われたら死んでしまう。
そう思うと、悲しいかな…これ以上一歩も前に動けない。
ヘタレの苦悩。
(絶好のチャンスなのに!!)
・・・・・・
「ユウ…」
「ん…苦し…」
息苦しくて起きてみると、バカウサギが俺を抱き締めてやがった。いつもならぶっ飛ばしているところだが、今日だけはおまけだ。(べつに、嬉しいとかそんなんじゃねぇ…)
「ユウ…ずっと一緒さぁ…」
寝言でベラベラ喋りながら腕に力を入れるバカウサギにドキドキしてるわけじゃねぇ。顔が熱るのはただ少し暑いからだ…こいつが抱きしめるからだ。
バクバクと音を奏でる心臓に言い訳を添えながらラビのほんのり赤みを帯びた頬に手を添える。
「起きるな…今回だけだ…」
首を少し伸ばし、触れるだけの口づけを贈る。
きっと真っ赤になってるだろう俺の顔…起きるな、見るなよ。
そう願いながら、そっと顔を離す…
待たせた分のキスを今贈る。
(ユウ…珍しく積極的さぁ…(俺、感動))
(なぁっ!おっおっ、起きるな勝手に、叩き切るぞっ!!)
真っ赤になった俺は、そのままラビに押し倒された。
絶対後で切り捨ててやる!!
素直になれない美人と一時的ヘタレ脱出な兎の物語。
…後書き……
積み木様いかがでしたかね?
初めてラビユウ書くのでドキドキでしたが…頑張ってみました^^
素敵なイラスト頂いたので、お礼に書いたのですがお礼になれましたかね?
いつでも書き直すので、何かあったら言ってくださいね・・)ν