「○○ちゃん、ためしに作った新メニューなかなか美味しかったからパウリーに届けてやんなよ。月曜の午後はどうせ暇だから。」
「ありがとうございます。一番ドックに差し入れしてきます。」
「わざわざ言い直さなくても…」
差し入れ
私には、2つの小さい頃からの夢があった。
1つは、大工となって船を作ること。
2つ目は、誰かのお嫁さんになること。
大工の方はもう叶ってるから、問題は2つめの方。
全く相手が見つからないのよね。
久々に1番ドックに行くしいい男いないか探してみよう。
「あっ、カク見っけ。」
「これは珍しいお客様じゃな。どうしたんじゃ○○?」
カクは、私が怪我して大工やめる前一緒によく仕事してたから一番中が良い。
カクと一緒に空中散歩しようとして怒られ、サボろうとして見つかり連れ戻され、家に帰るのが面倒になって酒場で寝ようとしたら叩かれた。
あぁなんてお母さん的なカクの記憶が蘇る。口調お爺ちゃんなんだけど。
「おっ、○○じゃねーか」
カクと楽しく話してたら、パウリーが向こうからやって来た。
「話しかけるなツケ男。」
「おめーな」
「相変わらずじゃのう…○○も口が悪いのう」
別に…口が勝手に動くだけだし。
「○○はパウリーが嫌いなのか?」
「るさいな。」
嫌いなわけないじゃない。
むしろ好きよ。
好きすぎて憎まれ口しかでないのよ。
「はい、店長からの差し入れっ」
差し入れをパウリーに押し付けて、思わず走り去っちゃった。
(何で嫌われてんだ俺?)
(その逆かもしれんぞ)
(なんだよそれ)