現パロ


一年三組は、バカの集まりだ。
同じそろばん教室の佐吉にこう言われたのは入学当日だった気がする。
私は、ちょっと頭に来たけど、入学三週間でよくよくその意味を理解した。
その上困ったことに、乱きりしんはとてつもないトラブルメーカーだった。

佐吉に関わるなと忠告を受けた意味が理解できたのは、不運なことに乱きりしんトリオに机を囲まれる最悪な席替えが終わった後だった。





チューリップを抱いて。





「もう、きり丸なんなのよ!」


今月に入って、トリオのせいで降りかかってきた災難は数知れない。

新品教科書を運んでいた乱太郎が転んで、私に本の束を投げつけたとか、しんべヱが食べちゃった皆の分の遠足のお菓子を買い直しに走らされたとか、なぜかきり丸の内職手伝わされたりとか。
なぜ私ばかり?帰宅部だから?


「○○、うるせーぞ」
「きりちゃん、どうどう。」


そして一番質が悪いのがこいつだ。
乱太郎やしんべヱは、まだ可愛いげがある。
乱太郎は不運だし、しんべヱは癒しがあるし、何よりちゃんと謝る。
だけど、きり丸だけは違う。
運悪いトラブルとか失敗じゃなくて、こいつは暇そうだからと言う理由で、内職やら当番の仕事に私を巻き込むのだ。
暇なのは事実だし断る理由もないからと、いままではやってやっていたけど、流石にこう毎日だと堪忍袋の緒も切れる。


「きり丸、あんた私になんか恨みでもあるの?暇は暇だけど毎日、毎日、私に手伝わせることないじゃない!」
「図書委員のよしみ。」
「そんなレベル越えているわよ!」


作り終わった花を黙々とダンボールに片付けるきり丸に苛々は、どんどん募っていく。
それに比例してか、乱太郎としんべヱは険悪なムードに顔を強張らせている。


「きり丸、聞いてんの?」


しびれを切らした私がもう一度声をかけると、

きり丸は下を向きながら私に造花の花を押し付けた。
何が何だか分からないで固まる私をよそに、荷物をちゃっかり片付け、ダンボールを抱えた彼は廊下に飛び出して、


「花言葉っ!」


と叫んで駆けて行ってしまった。

「何だったの?
てか、これ貰っていいわけ?」
「全くもう、きりちゃんは‥‥そんなに○○と一緒に居たいならちゃんと言えばいいのに。」
「凄い独占欲だよね‥‥。」
「はぁ?」


二人の言葉を何となく聞きながら、これ貰っていいのかな?
貰うぞ?と思いながら左手で造花を持ち、右手でスマフォを操作して花言葉を検索した。



(きり丸って、分からない。)
(素直じゃないだけなんだけどね。)
(そうそう。)
(訳分からない。)

まぁ。可愛らしいお言葉を頂いたんですから、
明日は黙って内職手伝ってやろう。






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