現パロ
ああ、寒い。
一歩廊下に出れば冬の寒さが身にしみてくる。教室の暖かさが恋しくなるが、今はどうしても戻りたくなかった。放課後の人の少なくなった教室は、私の居心地悪いものと化していた。
それというのも、勘右衛門が私と同じクラスで、私の隣の机が彼だって言うのがいけない。
他クラスや先輩女子が押し寄せる私の席の周り。邪魔だからどこかいけという目線。
こんな攻撃を毎日食らって、私の精神はブロークンだ。
この寒い廊下をとぼとぼ歩く私はみっともないのだろうか。学年で一二を争うイケメンの鉢屋君になぜか笑われ、惨めな気持ちで私は三階から屋上に続く階段の一番上の段に座って時間が過ぎるのを待った。尾浜君が帰れば女子達も帰る。そうしたら、いつも通り下に降りる階段が五月蝿くなるだろう。そうしたら私もクラスに戻って、帰りの支度をしよう。
「○○ちゃん風邪引いちゃうよ。」
「・・・はっ?」
体育座りして、縮こまって下を見ながら時間が経つのを持っていたら、頭の上の方からなんか聞いたことのある声がした。
だれだ?そう思いながら顔を少し上げてみると、そこには見知った顔があった。
「尾浜君、何しているの?」
見知った顔だ。見たくもない顔だ。尾浜勘右衛門は私の前に立って、にっこりと優しい笑顔で私を見下ろしている。
「三郎がね、○○ちゃんがとぼとぼ歩いていたって電話で連絡してきたんだ。」
「そう、」
「そうしたら、兵助が女の子の面倒見てくれてね、」
「そうなんだ、」
「それでね、・・・」
scala
悲しそうにしてる○○ちゃんを励ましに来たんだ。
と言う尾浜に私は、意味が分からないと言った。
そうしたら、にっこり笑ってそのうち○○ちゃんにも意味が分かるよ。と言った。