あぁ死ぬのか。そう思い意識を手放した私だったが、次に目にしたものに驚き、安堵した。
そこは、病院の個室で、傍にいるのは私が大好きなボスだったのだ。
『○○、もっと早く言ってくれればよかったのに。
たとえストーカーが、お得意先の関係者だって遠慮する必要なかったのよ。』
この人の前で私は、小さな子供なのだろう。頭を撫でられると心底ホッとする。
『たまたま私が貴女に用があって、あそこを通ったからよかったけど、そうじゃなかったらどうなってたか。』
真剣な彼女の表情を見て、相当心配させたようだとやっと気がついた。(後から聞いた話だけど、私は一週間も意識がなかったらしい。それならば誰でも心配するか…)
私は彼女に保護されながらリハビリに励み日常生活に戻れるまで回復した。
だが、それで終わりとするわけにいかないかったのだ。
あの少年は、まだ私に付きまとっている。暗闇から常に私を監視している。
ボスは、少年から私を守るために、彼女の知り合いがいる日本に送ってくれた。
こうして私が日本にいるのはそのためだ。
「明るいところが苦手な暗闇男との縁が切れますように…」
久々に使う日本語に不安を覚えながらも私の新しい日常が始まった。この、池袋と言う狭い町で。