『ママ、ママなんで逃げるの?追いかけっこの鬼はママなのに、なんで逃げるの?あのとき僕はママを捕まえたのに、なんで、また逃げるの?

そう言って彼は、悲しそうにした。

鬼ごっこの終わりは切りつけることよ。彼の母親は、そう言ったそうだ。


先天性白皮病にかかっていた息子を恐れた母親は、そのまま息子を殺そうとしたが、逆に奇跡的に助かった息子に、切り殺された。

その歪んだ愛は、人探しとして彼を探し当てた私にそのまま降りかかったらしい。』


報告書にそう書いた私は、そばに寝ている肌白の少年に毛布を掛けた。


よくよく見れば、幸せそうな寝顔。思わず笑みがこぼれる。


数時間前ならば、この少年を見ただけで私は発狂していた。なのに今は彼がとても愛しい。


それは恋愛感情でなく、何と近いかと言われれば母性愛だろう。


未婚であり、子供を持たない私が言うのもおかしいが。


誰かに必要とされていない孤独な少年は、私そっくりで放っておけない…………そう、光に嫌われた少年は、私の支えとなった。生きる希望になった。





ペンを置いて私も、明日のバイトに遅刻しないために寝よう。






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